2012 Fiscal Year Research-status Report
コミュニケーションツールとしての生活環境色彩の戦略的導入と展開
Project/Area Number |
23611015
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
岡本 幾子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (00135766)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 政司 大阪樟蔭女子大学, 学芸学部, 教授 (60225539)
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Keywords | 生活環境 / 色彩 / 安全性 / 機能性 / 快適性 / 誘目性 / 視認性 |
Research Abstract |
人間生活および福祉の充実のために「人は色彩とどのように関わっているか」を念頭に置き,生活科学の視座からコミュニケーションツールとしてのカラーデザインの戦略的な導入・展開を目指す.H24年度は生活消費財のパッケージデザインと消費者のイメージについて検討した. 消費者の商品イメージ構築に寄与するパッケージの色彩について,まずシャンプーを対象として研究を行った.既存商品の製品特徴やイメージを表す言葉を抽出し,言葉と色彩との関係を検討するとともに,小売店等で販売されているシャンプー容器を視感測色して色彩分析を行った.その結果をもとに生活消費財のイメージを表す言葉から連想する色彩や配色について大学生を被験者とする実験を行い,その関係性について検討した.カテゴリーが同じ商品であっても特性が異なるような消費財においては,消費者のイメージに対応した色彩をベースカラーとする配色が商品特性の意味伝達効果が大きいことが明らかになった.配色の嗜好性については,ベースカラーとアソートカラーの関係が類似~中差トーンが好まれる一方で,低明度低彩度のアソートカラーやアクセントカラーは嫌われる傾向があることを明らかにした. また消費財としてチューインガムを対象とした研究では,ミント系は緑や青,フルーツ系にはピンクや黄緑や紫,機能性を強調する場合は黒がパッケージに採用されており,もっとも多くみられる緑系について,消費者は共通の印象を有していることが明らかになった.ただし消費者はハーブの葉のような原料の色に対するイメージよりも「清涼」,「爽快」,「クール」など感覚的なイメージを持つ傾向がある.基本色名を基準にして選定した59色の色票を作製し,チューインガムのイメージに合う言葉について大学生を被験者とする実験を行った結果,イメージ言葉に対応する色彩は限定される傾向があることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
H24年度はコミュニケーションツールとしての消費財のパッケージデザイン(シャンプー,チューインガム)について検討するとともに,初年度の衣環境領域における反射材の有効性実験の補完(反射材のデザイン展開の有効性に関する三次元形状入力装置を用いた計測等)を並行して行った.H24年度の研究成果は国際色彩学会の審査を経てH25年7月に発表が決定している(Relationship between Color Design of Package and Consumers' Image, In the Case of Shampoo Container in Japan,AIC2013,Newcastle-Gateshesd, UK).本研究では生活にかかわる複合領域を研究対象としていることから,衣食住に関連する生活環境色彩の戦略的導入と展開について,最終年度(3年目)の総括に向けて検討を行っている.H24年度の研究はおおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
衣環境領域では,立体刺激(7歳男児人体モデルに着用させた上衣)に導入する反射材のデザイン展開について最終年度の実験データのまとめと補完を行う.食環境領域では,嗜好食品のパッケージデザインとして2年目に行ったチューインガムのパッケージに加えて,最終年度はジュースのパッケージに焦点をあて,コミュニケーションツールとしての色彩に関して視線分析による検討を行う予定である.住環境領域ではピクトグラムのデザイン有効性についての継続実験を行うとともに,生活にかかわるコミュニケーションデザインの有効性についての総括を行う
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は,実践研究の遂行のために独自に調光対応のLED光源ボックスのベース(本体)を作製した.H25(最終)年度の研究で,調光器対応LED照明の種類と数量を補てんするなど実験装置の機能性向上を必要とすることから,当該年度に計上した人件費・謝金ならびに旅費その他等の予算を最終年度に繰り越しとした.その他最終年度の研究費の使途として,ピクトグラムのデータベース作製用PCならびに関連ソフトの購入,人件費,国際学会発表旅費などを予定している.
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