2011 Fiscal Year Research-status Report
観光価値形成のための街路空間デザインプロセスの構築
Project/Area Number |
23611019
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
森田 昌嗣 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (20243975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
曽我部 春香 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (50437745)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 観光価値 / 都市観光 / 観光資源 / 街路空間 / デザインプロセス / パブリックデザイン / 景観評価 / クオリティカルテ評価・診断システム |
Research Abstract |
本研究は次の三つの段階で進めている。第一段階は、これまでプロダクトデザインを中心に研究を行ってきたクオリティカルテ評価・診断システムを、街路空間で行う場合の手法を確立する。第二段階では、新たに計画される街路空間デザイン案におけるクオリティカルテ評価・診断システムの手法を確立する。三段階では、それらを統合した上で、具体的な街路空間を設定したケーススタディを行うことで、実用的なデザインプロセスの構築を行う。 平成23年度は、第一段階の研究、地域の観光価値評価のためのクオリティカルテの構築であった。クオリティカルテの評価センテンスを抽出するために、地域イメージがどのようなもので構成されているかを福岡県在住の大学生90名にアンケート調査で福岡に対する地域イメージの調査を行った。その回答をランドマークや観光名所、特産品などのカテゴリーに分類し、文献等と照らし合わせることで地域イメージの構成要素を定義した。次に、定義したカテゴリーに沿って評価センテンスの収集を行った。収集元は、各カテゴリーに関連した先行研究や専門誌、現地調査を行った観光地のパンフレット等解説文等々から合計856個のセンテンスを収集した。そして、集めた評価センテンスを内容によって分類・整理した。似た意味のセンテンスの統合とわかりやすい表現への簡略化などによりセンテンスの分類24項目のクオリティカルテを構築した。このカルテを用いてケーススタディ地区2地区においてアンケート調査を行い、地域における生活者(内部者)と観光者等外部者との評価のズレを可視化した。その主な結果としては、地域の生活者の方が観光者よりもさまざまな面で辛めの評価であることなどが明らかとなり、観光価値形成のための地域における街路空間デザインには、観光者の高い評価のセンテンスを計画方針に盛り込み、その効果を生活者に理解させる手法が必要であることが示唆できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」は、本研究では街路空間における観光価値を形成のため、本研究室で構築しているデザイン評価システム(クオリティカルテ評価・診断システム)を利用して、生活者・観光者双方の評価を内包した新たな街路空間デザイン手法の構築を行うことである。この目的に従って本研究は次の三つの段階で進めている。第一段階は、これまでプロダクトデザインを中心に研究を行ってきたクオリティカルテ評価・診断システムを、街路空間で行う場合の手法を確立する。第二段階では、新たに計画される街路空間デザイン案におけるクオリティカルテ評価・診断システムの手法を確立する。三段階では、それらを統合した上で、具体的な街路空間を設定したケーススタディを行うことで、実用的なデザインプロセスの構築を行う。 平成23年度は、研究の初年度であり研究計画(上記)の第一段階にあたる。研究実績の概要に記したように、研究計画の第一段階であるクオリティカルテ評価・診断システムを、同カルテの評価センテンスの抽出と整理・分類によって構築し、2地域でのケーススタディ(評価実験)を通して構築し、そのシステムの有効性を導出している。 以上、本研究の初年度(平成23年度)は、研究計画通りに順調に進展していると自己点検評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24 年度以降は、以下の流れに従って、平成23 年度に構築されたクオリティカルテ評価・診断システムの対象を、新たな街路空間デザイン案にまで拡大し、評価手法を確立する。その上で、具体的なケーススタディ地域を選定し、実際の街路空間デザインにおいて評価実験を繰り返しながら実用性の検証などにより観光価値形成のための街路空間デザインプロセスの構築を行う。○デザイン提案作成:街路景観評価実験を基に生活者・観光者双方に価値のある街路空間デザインを検討・作成し、シミュレーションのためのデザイン案の可視化を行う。このデザイン案の評価を行うために被験者に示すことのできる評価のためのコンテンツを作成する。○街路デザイン計画評価実験:可視化した街路空間デザイン計画が評価可能であるかの検証を行い、実験計画を策定し、評価アンケートなどを作成して評価実験を行う。○実験結果分析:評価実験の結果を統計解析ツールにより生活者・観光者における評価のズレの可視化(クオリティカルテ評価・診断システム)を行うとともに評価手法の問題点と課題を抽出する。○観光価値形成のための街路空間デザインプロセスの構築:現状評価及びデザイン案評価を一体化した街路空間デザインプロセスを構築する。このデザインプロセスを試行するためのケーススタディ地域を選定し、実際の街路空間デザインにおいて評価実験を数回繰り返しながらデザイン計画とそのデザインプロセスをブラッシュアップさせ、デザインプロセスの実用性の検証により問題点と課題を整理し修正等を加えて最終的なまとめを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の交付予定額は、直接経費1,400,000円、間接経費420,000千円であり、平成23年度の直接経費の残額270,670円とを合算した額(1,670,670円)で以下の平成24年度研究費(直接経費)の使用計画をたてる。設備備品費:360,000円、消耗品費390,000円、旅費:500,000円、謝金:300,000、その他:120,670円、合計:1,670,670円研究計画調書で示したように、平成24年度の設備備品費は、街路景観評価実験のためのデザイン案シミュレーション用図版作成に関わる装置類の購入、消耗品費は、その図版作成のためのソフトウェアやモデル制作費などを予定している。旅費は、既設の街路空間デザイン地域調査、評価実験調査並びに学会等の成果発表、海外の視察調査費などを予定している。謝金は、評価実験のための図版作成や実験補助などの研究補助のための費用、その他は印刷費や研究発表投稿料を予定している。
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Research Products
(7 results)