2013 Fiscal Year Annual Research Report
ユニバーサル放送の実用化を目指した放送音声の音響デザイン
Project/Area Number |
23611020
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
白石 君男 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (90187518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 和夫 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 准教授 (80254316)
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Keywords | 放送 / 高齢者 / 圧縮増幅 / ユニバーサルデザイン |
Research Abstract |
テレビ放送音源を4つの周波数帯域に分割し、各帯域の増幅量と圧縮比、スレッショルドレベルを調節することで、健聴者と高齢者共に聴き取りやすいユニバーサル放送の音源を作成することを当初の目的とした。昨年度の研究は、比較的聴こえの良い高齢者が実験参加者として選定されており、元々テレビ放送音源を聴き取りづらく感じていない可能性があったため、今年度は、先行研究よりも聴力レベルの約10 dB閾値が上昇した軽度難聴者を対象に、テレビ放送音源の圧縮増幅処理が高齢者の聴き取りやすさに及ぼす影響について検討することとした。最初に、先行研究と同様の聴取実験をおこない、聴力レベルの違いによる影響を検討した。その結果、圧縮増幅処理の中での有効なパラメータが先行研究の結果と類似する一方で、原音より有意に聴き取りやすいとされる処理法は認められなかった。そのため、聴力レベルの違いによる影響はほとんどないと考えられた。また、これまでの先行研究で検討されていなかった高周波数帯域について同様に聴取実験をおこなったところ、13名のうち3名が4000 Hz以上の帯域を6 dB増幅することで、原音より有意に聴き取りやすいと評価した。今回の実験から、高齢者の聴力レベルを統制しても、原音に対して全ての実験参加者で一括して聴き取りやすさの改善される処理法を定めることはできないことが示唆された。今後は放送の送出側でなく、聴取者側の高齢者に合わせて圧縮増幅処理のパラメータを調節できるような手法について検討していく必要がある。
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