2011 Fiscal Year Research-status Report
途上国における産業デザイン人材の育成研究-タイ家電産業の事例
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23611030
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Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
黒川 基裕 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (30363774)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 産業デザイン / 商品企画 / 製品開発 / 開発経済 / 工業化 / 国際情報交流 / タイ:マレーシア |
Research Abstract |
研究開始年度に当たる本年度については、時間経過に伴う研究計画の見直し、研究推進の軸となる基本的概念の整理、現地での研究協力体制の構築などに努めた。 まず、「産業デザイン人材」の定義については、当初の予定通り日本デザイン振興会らによる「産業デザイン人材スキルスタンダード」をもとに能力の構成要素を体系化した。これは、次年度以降用いることになる能力評価シートや検定制度の基盤となるフレームワークである。スキルスタンダードの活用にあたっては、その整合性について、デザイナー、商品企画担当者、マーケティング担当者らへの聞き取り調査を通じて確認してきた。また、スキルスタンダードの指標化、人材育成モデルへの転換について、適宜アドバイスを受けた。 産業デザイン人材モデルの設定については、223項目からなるスキルスタンダードの整理・統合作業が必要となってくるが、特に多くのアイテムを含んでいる「教養」の取り扱いについて、検討を進めていった。このアイテムを大幅に削除し、産業デザイン人材としての基礎的能力を素材・加工法に関する知識で構成することも検討したが、国際比較を実施する際に、教養のパラメータで大きな差異が出るのではないかという仮説が立ったため、簡素化したかたちで教養にかかるアイテムを残していくことの重要性が示唆された。 研究協力体制の構築については、商品企画コンテストを実施する予定であるタイ国において、UNIDOバンコック事務所、タイ国工業省、タマサート大学などと交渉を進展させた。クリエイティブ産業の振興を検討しているタイ国においては、比較的理解が得やすく、有効的なサポートを受けることができそうである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産業デザイン人材の定義についての検討が進んでおり、能力評価指標、課題提出シートの設計が進んでいる。このことから当該研究の軸となる商品企画コンテストの実施が予定通り見込めるところから、現時点で研究は順調に推移していると判断できる。 一方で、コンテスト実施の要件となる企業サイドからの課題の提示については、まだ明確な協力が得られておらず、調整を急ぐ必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
H24年度においては、当初の予定通りタイ国における商品企画コンテストを実施出来るようにする。実施機関となる、大学、企業などを選定し、実施体制の構築に努めていきたい。また、作成された能力評価指標が、人材育成モデルとしても活用できるように、より利便性の高いモデル作りに取り組んでいく。 現地でのコンテストの実施を補完するために、H24年度10月末に開催予定のTokyo Designers Weekに出展することも検討している。これは、学生の商品企画案を出展し、来場者に評価シートを用いて採点してもらうことで、評価指標のプリテストとして位置づけるという計画であり、必要に応じて実施する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H23年度からは、8万円程度の繰り越しが発生しているが、これは予定していた物品の購入を延期したためである。研究計画自体は、予定通り推移しているため、H24年度については、当初の予定通り研究費を使用していく。
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Research Products
(3 results)