2013 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における産業デザイン人材の育成研究-タイ家電産業の事例
Project/Area Number |
23611030
|
Research Institution | Takasaki City University of Economics |
Principal Investigator |
黒川 基裕 高崎経済大学, 地域政策学部, 准教授 (30363774)
|
Keywords | 産業デザイン / 商品企画 / クリエイティブ産業 / 産業人材育成 / タイ / 東南アジア / 開発経済 / 工業化支援 |
Research Abstract |
本研究は、工業化の進展が著しい中進国においてニーズが高まってきている、産業デザイン人材の育成方法について検討したものである。 途上国の製造業に関しては、これまで多国籍企業が企画・開発した製品の生産地としてのみ存在しているという面が強く、QCD中心の能力構築が重視されてきた。しかし、商品企画、製品開発といった工程の移転が計画されている中で、統合的な能力を保有する人材が必要となることが予想される。また、クリエイティブ側面が強い人材育成としては、これまでの途上国向けの人材育成支援が技能・技術中心であったことから、新しいタイプの人材育成方法の構築が検討されるべきである。 そこで本研究では、日本デザイン振興会によって作製された、「産業デザイン人材スキルスタンダード」をベースとして、研究フィールドとなったタイ国にカストマイズした1.産業デザイン人材の能力測定に可能な指標づくり、2.人材育成プログラムの策定に活用可能なスキルスタンダードの作製を試みることを目的とした。 まず、223項目あるスキルスタンダードのうち、商品企画に係るものを抽出し、ヒアリングなどを通じて把握したタイ国の実情を踏まえながら、より整理された「タイ国・商品企画分野」の評価指標を作成した。次にその評価指標を基に商品企画提案用のフォームと作品評価基準を作成し、Faculty of decorative arts, Silpakorn Universityの協力を得て、学生の商品企画案を用いた実査を行った。 結果として、スタイリングに係る能力は高い一方で、市場の把握、技術情報の収集などが大きく不足しており、産業デザイン人材としては、市場調査やマーケティングの能力強化が補強されるべきであることがわかった。今後の研究では、この知見をもとに、人材育成プログラムの詳細設計やマクロレベルでの政策立案を推進していく予定である。
|