2011 Fiscal Year Research-status Report
社会システムと技術システムとの統合設計へのシステムデザイン方法論の適用研究
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23611038
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
白坂 成功 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 准教授 (00588741)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保井 俊之 慶應義塾大学, 先導研究センター, 特任教授 (50567758)
神武 直彦 慶應義塾大学, システムデザイン・マネジメント研究科, 准教授 (20549836)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | デザイン学 / システム工学 / 設計工学 / システムデザイン |
Research Abstract |
この研究では、複数のディシプリンにまたがるアプローチであるシステムエンジニアリングの考え方を 基礎とし、その適用分野を広く社会システムへ拡張して適用するためのシステムデザイン学の体系化及び 方法論の構築を行い、実社会の問題に対して適用してみることで、その有効性を検証することを目的としている。平成23年度は、技術システム並びに社会システムでの共通性と特殊性を明確にするために、これまでは技術システムに適用されてきていたシステムデザイン手法の社会システムデザ インへの適用についての研究を実施する。具体的な小規模な社会システムデザインを対象として、従来技 術システムのデザインで実施されてきたプロセス、手法の適用を試み、得られた結果をまとめ、成果の発表を行うことを目標としていた。今年度は、秋田県の中心市街地活性化するためのシステムデザイン、遊園地における価値協創過程の分析、スキーを対象としたスポーツ教育システム及び商店街活性化システムデザインに対して、システムエンジニアリング手法を適用し、その有効性を評価した。評価においては、システム動作の健全性に関するシステム評価および、アンケートやインタビュー、観察などによる評価を実施し、システムデザインの各タスクおける統合的なデザイン方法論について、システム間での共通点や相違点を明らかにした。これらを通じて、実行したデザインのプロセス・手法を評価することで、技術システム及び社会システムのデザイン要素 となるプロセスでのタスクを俯瞰的に整理することができた。また、小規模システムの試行や、識別されたプロセスや手法の特徴について、得られた結果をまとめ、成果の 発表を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下に述べる通り、計画以上の成果をあげることができた。まず、秋田市中心市街地活性化のための政策デザインに対してシステムエンジニアリング手法の適用を行った。この適用では、元となる手法では会わないところについてカスタマイズの必要があったが、方法論としては技術システムのための方法論を活用して政策デザインを実施でき、その有効性についてもアンケート評価にて有効と判断された。この結果は、国内外の学会で発表されるとともに、関東都市学会年報に掲載された。次に、スキースポーツの指導法のデザインに対してシステムエンジニアリング手法の適用を行った。この適用では、システムエンジニアリング手法を活用して価値協創型の指導法をデザインし、その見える化によって有効性を示すことができた。この結果は、日本スポーツ教育学会にて発表された。また、遊園地において、サービス提供者からサービス受容者への一方的な価値のデリバリーによって価値創出がおこなわれているのではなく、顧客相互が遊具という媒介を通じた絶え間ない相互作用によって価値創出をおこなっていることをシステムエンジニアリング手法を活用して見える化し、分析をおこなった。本研究は、社会経済システム学会本会にて発表され、社会経済システム学会誌に投稿中である。更に、商店街において、非経済的価値の創出の担い手である商店主と顧客とのネットワークが安心/安全や地域づくりを作り出していることをシステムエンジニアリング手法を活用して定量的に見える化することができた。これにより都市におけるコミュニティシステムとして、コミュニティシステムとしての商店街の機能を示すことがきた。この研究も社会経済システム学会本会にて発表され、社会経済システム学会誌に投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして、社会システムと技術システムそれぞれのシステムデザインプ ロセス及びタスクの統合を実施する。平成23年度の結果として、社会システムのデザインに向いたプロセスと手法が明確にされている。また、技術システムと社会システムのシステムデザインに必要なデザイン要素の俯瞰的な関係が得られている。これを活用することで、技術システムデザインにおけるプロセス・手法との統合が実行可能となる。平成24年度は、技術システムデザインと社会システムデザインの統 合と、小規模システムあるいは仮想システムを対象とした統合デザインの試行及びその評価を実施する。これにより、提案する技術システムと社会システムの統合デザイン方法論の有効性を評価する。また、その結果得られた改善点についての検討を実施し、プロセス及び手法の改善を実施する。これらの結果を活用し、小規模システムの試行や提案する技術システムと社会システムの統合デザイン方法論の有効性について 、得られた結果をまとめ、成果の発表を行う。平成25年度には、平成23年度及び平成24年度の成果を活用して、この実社会のシステ ムへの統合デザイン方法論の適用を通じて、提案する技術システムと社会システムの統合デザイン方法論 の有効性、限界及び技術システム及び社会システムの特徴による違いについての評価を実施する。さらに、技術システムと社会システムの統合デザイン方法論ついて、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を 行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
大きく分けて、試行準備のための費用、試行の実施のための費用、試行結果を発表するための費用から構成される。試行準備のための費用としては、事前にデータを準備するためのアルバイト費用や試行に必要な治具、データ、PC等の費用が含まれる。試行の実施のための費用としては、試行を実施するために現地へ移動するための交通費、現地での活動支援のためのアルバイト費やアンケート等への協力に対する謝金、そしてデータ整理のための人件費などが必要となる。試行結果を発表するための費用としては、国内の学会に参加するための学会登録費、旅費、国際学会に出すための英文校正費、発表のための学会登録費、旅費、及びジャーナルにのせるための費用などが必要となる。いずれについても、一つで大きな額になるものはないが、小規模な適用を繰り返しながら、仮説構築と検証を繰り返していく必要があるため、それぞれ複数回の小規模試行のための準備費用、実施費用及び発表費用が必要となる。
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Research Products
(6 results)