2011 Fiscal Year Research-status Report
身体を考える生活を促す支援環境と生活意識の構成論的デザイン実験
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23611039
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
諏訪 正樹 慶應義塾大学, 環境情報学部, 教授 (50329661)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 康明 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (40500202)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 身体知 / 暗黙知 / 言語化 / 構成論的方法論 |
Research Abstract |
本研究は,"身体を考える"という行為を提唱し,その行為を習慣化することによって身体に根ざした生活意識を芽生えさせるための支援環境を構築するものである."身体を考える生活行為"のドメインとして,様々な地面を歩く際に生じる体感をことばにし,居住エリア周辺の散歩道に足音オノマトペ地図を制作するという生活行為を選定した.今年度は以下の3つの要素研究に取り組んだ. 第一に,体感や動作をことばで表現することが身体を考えるための基本行為であるため,本来ことば化しにくい体感をオノマトペを用いて言語化し,それを他者と共有するためのweb環境のプロトタイプを制作した. 第二に,上記ドメインの生活行為を習慣化させる支援システムの制作にとりかかった.まず,足音/振動を計測するセンサーシステムの設計,音/振動の特徴抽出アルゴリズムの考案,音/振動データと体感オノマトペ表現を対応付ける辞書データの作成アルゴリズムの考案,音/振動データの入力に対してオノマトペ表現を出力するアルゴリズムの考案である.現在までに90%完成し,来年度からシステムの初期実装と実験を試みる. これらの要素研究を進めるなかで,"身体を考える"行為は,これまでの生活環境,コミュニティ,生き方に根ざした生活意識と強く関わるという問題意識が醸成されてきた.上記に述べた支援システムを生活者に使わせることと併用して,生活者の生活意識/コミュニティ意識を語ってもらうためのコミュニケーション場のワークショップデザインも,身体を考える支援環境として重要であるからである.そこで第三の成果として,今年度は,生活意識/コミュニティ意識を語らせることによって生活意識を高めるためのインタビュー手法の開発に着手した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
身体を考える行為のドメインの選定後,支援システムに必要とされる様々なアルゴリズム考案に時間を費やしたが,ほぼ順調に研究を進めることができている. 体感をオノマトペで表現するためのプロトタイプwebシステムは,複数人で使用してお互いの表現を共有するという実践はまだ試すことができていないが,予定から大きく遅れているわけではない. 生活者の生活意識/コミュニティ意識を語ってもらうためのコミュニケーション場のワークショップデザインも,身体を考える支援環境として必要であるという新しい問題意識が醸成されてきたことは大きな進展である.
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Strategy for Future Research Activity |
体感をオノマトペで表現するためのプロトタイプwebシステムの実践使用を生活の中で繰り返し,言語化のためのプラットフォームとしてのフィージビリティを検証する.生活のなかで身体を考えることを促す支援システムを初期実装し,居住エリアの道で生活実践実験を始める.またそれと並行して,生活意識/コミュニティ意識を醸成するためのワークショップ方法論を確立する(上記支援システムが実用に耐え,複数の生活者で実践使用が開始された後に,この種のワークショップが大きな貢献を果たすことが予想される).
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
まず次年度に使用する研究費が生じた理由を述べる."身体を考える生活行為"のドメインとして選定した例題の性質上,申請時には初年度に行う予定であった「表現したことばを俯瞰する各種支援ツール群の制作」を平成24年度に割当て,平成23年度は音振動データをオノマトペに変換するメディアシステムの本格的初期実装に専念した方がよりよい成果が期待できると判断した.そのため,ツール群の開発のソフトウェア開発費として予定していた研究費を平成24年度に使用する. 次に次年度の使用計画を述べる.身体を考えることを促す支援システムの実装を完成させ,少人数で実践使用することにより種々アルゴリズムの妥当性を検証するフェーズで,ソフトウェア開発に関する謝金を使用する.初期実装による検証が終了後は,足音/振動に応じてリアルタイムに体感オノマトペを表示し,そのフィードバックを受けて歩くという生活実践を開始しなければならない.その表示アルゴリズムの考案とシステム開発に物品費(消耗品費)を使用する.また生活実践が本格的になるとユーザ被験者の謝金を定期的に使用する.更に,システム実装と実験の結果をまとめて学会発表するための旅費が必要となる.また,歩行時の体感のことばが蓄積してきた段階で,上記で述べたように,「表現したことばを俯瞰する各種支援ツール群の制作」のためにソフトウェア開発費を使用する. 更に,生活意識/コミュニティ意識を醸成するためのワークショップを実践するために旅費を使用する.
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Research Products
(4 results)