2013 Fiscal Year Research-status Report
松かさ燐片構成を応用した空間造形の研究 -環境に呼応するバイオミミクリ空間-
Project/Area Number |
23611044
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
伊藤 泰彦 武蔵野大学, 環境学部, 准教授 (40515095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲山 正弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70337682)
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Keywords | バイオミミクリ / 木質構造 / 空間デザイン / 立体造形 / 多重螺旋 / 松かさ |
Research Abstract |
本研究では、松かさ観察による多重螺旋配列の平面表記法の考察から、新たな空間デザインを探求している。平成23年度は木質ドームの制作に取り組み、平成24年度はシームレスに平面から立体へと形態変化する構造物を構想し試験体を制作した。この経緯のもと、平成25年度の活動は主に以下の2つのことに注力した。 1つは、これまでの試作体の再評価である。とくに、平成23年度の木質ドームは2度にわたり改修して組み立て直し、構造上と施工上の課題点の整理に努めた。また平面パターンとの対応関係を再度確認するため、基本図形を用いたドームの床板を制作した。 もう1つは、異種の動植物の造形に関する考察である。具体的には、魚の鱗、タンポポ、草の根、蟻の巣、ロマネスコ、葉脈、貝殻、蜂の巣がある。対数螺旋・枝分かれ・多角形の空間充填(空間分割)・フラクタルなどのパターンを抽出し、本配列パターンとの関連性と可能性を考察した。その後、自己相似性という観点でフラクタル幾何学などを応用した立体造形の計画をはじめている。これは、現時点ではまだスタディ段階であり、平成26年度に予定する制作物に活かすことを目指している。 また、研究成果については随時の発表を行った。日本建築学会建築デザイン発表会にて、平成24年度の成果について報告した。また、日本建築学会「アーキニアリングデザイン展」にて、平成25年度の活動の中間発表として作品展示を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の報告では、当初計画した照度・表面温度による評価を見直し、形態特性にダイレクトにつながる研究の進め方(評価・考察)の検討を課題として挙げた。その見直しをもとに、平成24年度は3つの試作に取り組んだことを報告し、量的な進捗状況の順調さを説明した。そして平成25年度は、成果の質的向上をテーマとした。これまでの試作体を組み立て直して再評価をしたり、松かさ以外の動植物を観察して本課題との関連性を考察したのは、そのためである。研究最終年度となる平成26年度の制作物のスタディへと展開できており、このことから研究はおおむね順調に進展していると評価している。 また、当初の研究計画で、研究成果の逐次報告を掲げた。平成25年度は、日本建築学会建築デザイン発表会・日本建築学会アーキニアリングデザイン展で発表と展示ができたことは、成果発表の点でも一定の結果を得たものと判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は、構造体の試作・制作と評価を繰り返す研究である。次年度は研究の最終年度であり、これまでの成果を発展させた制作に取り組み、研究をまとめる。既にそのための計画を進めている。まずは、CADと模型を併用したスタディを進めている。また、より高次の成果を目指すため、コンピュテーショナル・デザインの手法を導入することとした。ツールは、Rhnocerosとそのグラフィカル・アルゴリズミック・エディターであるGrasshopperである。模型で検証している基本立体をもとに、より小さな構造部材で大きな立体造形を形づくる構造物を構想している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述の通り、本年度(平成25年度)は、研究最終年度の次年度の制作物の準備(スタディ)期間となった。新たな試作体の制作ではなく、研究期間内で制作した試作体を改修し組み立て直すことに注力した結果、材料費等の軽減が図られた。また、新たな試作体の制作に向けた準備も行っている。これは模型制作によるスタディであるため、材料費は安価なものとなった。 次年度(平成26年度)は、最終年度としての制作物に取り組む。年度前半で、コンピュテーショナル・デザインを併用した計画・設計を行う予定である。そのための設備の導入と模型制作のための材料・備品等に、研究費を活用する。年度後半は、実空間としての木質構造物の材料・工具などとともに、成果発表のための経費に研究費を活用する予定である。
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Research Products
(2 results)