2014 Fiscal Year Annual Research Report
使い続けるためのデザイン - 近代イギリスの家具とリサイクル文化
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23611045
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
真保 晶子 武蔵大学, 人文学部, 助教 (50578474)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | デザイン / 近代イギリス / リサイクル / 消費文化 / 家具 / 修理 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、2014年8月と2015年2月の2回に分け、現地資料調査を以下のとおり行い、多くの収穫を得た。まず、2014年8月の調査では、(1)昨年の調査で取り掛かった住宅と調度品に関わる18世紀後半から19世紀前半のオークション・セールスカタログのコレクションを閲覧・研究した。(2)家具メーカー、ギロウ社の書簡集(18世紀後半から19世紀前半)からサンプル年を抽出調査し、ギロウ社から顧客へ送付された修理に関する手紙をいくつか発見し、研究した。(3)昨年の調査で中心的に行った家具やそれ以外の物の修理に関する刊行資料の補足調査をした。(4)またマニュスクリプト資料も調査した。2015年2月の調査では(5)イングランド南部の州の文書館合計4館において、家族文書を中心に家具と住居の修理に関する史料を調べた。(6)また刊行日記・自伝の補足調査もした。 たしかに家具・住宅の修理・中古品に対する一般の人々の意識を探ることは通常、史料に表れにくく、非常に困難を伴うが、上記の調査結果から得た断片的な証拠を突き合わせることで次のようなことがいえる。(1)家具メーカーの文書をもとにすると、当時の中流階級の顧客および製造者はともに長期的に家具を使用することを念頭に置き、手入れをしていた。(2)地方の文書館に残されている家族文書からも、住居の修理への同様な態度がうかがえる。(3)古い物がただそれだけで価値を持っていたかどうかはさらなる分析が必要であるが、当時の刊行物や中古品のセールスカタログからは、概ね手入れされていた古い物・建造物への評価は人々の間にあったことが示唆される。
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