2012 Fiscal Year Research-status Report
サステナブルな自動車社会のための自動車エコデザイン支援システムの研究
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23611050
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
東 大輔 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (20461543)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 明 九州大学, 芸術工学研究科(研究院), 教授 (80325571)
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Keywords | 国際情報交換[フランス] / 国際情報交換[イタリア] / 自動車デザイン / エアロダイナミクス / エコデザイン |
Research Abstract |
(1)外部(海外)自動車デザイナーとの意見交換:H23年度に予定していた海外渡航を今年度に実施することができた.渡航先はパリ・モーターショーに合わせてフランスおよびイタリアである. 【フランス・ニース】トヨタED2(トヨタ・ヨーロッパ・デザインスタジオ)にて現地デザイナーと意見交換.スタイリング要件と各種技術要件を融合させてデザイン開発を進めるのはヨーロッパも同じ.数十種類の空力アイテム(要件)を事前に日本のエンジニアから入手し,目標性能を満たす範囲でデザインに盛り込むとのこと.エコデザイン支援システムには,検討形状に対する空力性能予測と改善提案が短時間(1,2日程度)で得られることを期待されている.また,モナコではヨットデザイナーと意見交換.類似した形状でも,ボデーサイドのキャラクターラインで面の張りやデザイン全体の印象をコントロールできるなど収穫のある視察となった. 【イタリア・トリノ】世界3大カロッツェリア(デザイン・スタジオ)の一つである「ベルトーネ」を訪問.カロッツェリアは基本的に風洞試験装置を持っていないため,我々のエコデザイン支援システムの「空力部分」に興味を示してくれた. 【フランス・パリ】パリ・モーターショー会場にて各国のカーデザイナーおよびジャーナリストと意見交換.ヨーロッパでは空力を意識した車でないと売れない.しかも,日本のように環境性能や空気抵抗ばかりでは不十分で,高速走行時の揚力低減も合わせて考慮していないとユーザーは評価しないという厳しい意見も得た. (2)デザイン評価対象の拡充:これまでの研究で,セダンとクーペに対するデザイン評価分析を終えている.今年度は欧州で人気の高いコンパクトハッチに対するデザイン分析を行った.コンパクトハッチではルーフ形状のデザイン影響度が大きいなど,有益な情報を得ることができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.外部デザイナーの意見集約(国際情報交換)の点では計画よりも進展があった.デザイン開発は自動車開発業務の中でも最も秘匿性の高いものであり,デザイナーから業務に関する深い意見を得ることは極めて異例のことである.今年度の海外渡航で,フランスとイタリアのデザイン事務所トップとデザイナー数名から業務上の課題と研究内容に対する提言を得られたことは大きな収穫であった. 2.その一方で,デザインモデル自動生成に関しては計画よりもやや遅れている.計画に挙げていた「Maya」を用いたモデル自動生成手法の検討を行ったものの,形状変更に伴うボデー面の歪みを抑えることができず,別の手法を検討することにした.研究に協力してくれているソフトウェア・クレイドルと共に,モデルの自動モーフィング技術について検討を進めているところである. 3.スタイリング要件と空力性能をはじめとする各種技術要件の融合手法についてもソフトウェア・クレイドルと検討を進めている.すでに異分野では実績もある手法である.自動車は検討すべき部位と技術要件が多く,容易な話ではないが,応用不可能な話でもない.システム構築に向けて着実に進展していると判断する. 4.システムに盛り込むデザイン分析結果についても進展があった.上述のように今年度はコンパクトハッチに対する分析結果を新たに得た.欧州で人気のあるカテゴリーだけに,本システムに対する有用性の高いデータが得られたと考えている. 5.本研究に関連した内容で学会発表を行い,研究の進捗状況を外部に示した.
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Strategy for Future Research Activity |
1.スタイリングと空力要件(各種技術要件の代表として)を融合する手法の確立をめざす.また,合わせてモデル自動生成技術も方向性を明確にし,本研究の最終目的である自動車エコデザイン支援システムのパイロット版(簡易版)の完成をめざす.少なくとも次年度中(H25年度中)にシステムに必要なコンポーネント(要件融合,モデル作成)の方向性は確実に示すものとする. 2.本研究の内容に関連した「自動車空力デザイン」に関する書籍を出版する. 3.研究成果を学会およびホームページで公表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
パイロットシステムの動作検討を行うラップトップPC,デジタルスケッチ用タブレットなどを購入予定である.また,各種打合せと学会発表のため,国内旅費を使用する予定である.
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Research Products
(6 results)