2011 Fiscal Year Research-status Report
錯視の公共空間への活用ーイメージハンプの盛り上がり効果
Project/Area Number |
23611051
|
Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
星加 民雄 崇城大学, 工学部, 准教授 (10331068)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | イメージハンプ / 錯視 / 盛り上がり効果 / ストライプパターン / ロータリー交差点 / 速度抑制 / ハンプ / 公共空間 |
Research Abstract |
研究目的および研究成果:道路上のハンプは速度抑制を目的として開発されたものであるが、設置の状況によっては騒音問題や障害物としての事故につながるケースもある。またイメージハンプは見かけによって速度抑制に結びつけるための方法であるが、それだけでは速度抑制効果は一時的な成果しか期待できない。本研究は、錯視効果による視覚トリックを活用し、既存の台形型ハンプおよびサイン曲線型ハンプにイメージハンプを併用した新型ハンプの開発を目的に研究を進めるものである。これまでの研究事例においても錯視効果をハンプに併用し盛り上がり効果に結びつる研究および施工実例はないため、既存のハンプとイメージハンプとの併用による新型ハンプの研究開発に期待が寄せられている。平成23年度の研究成果は以下のとおりである。1.奥行き長さ16mのストライプ型イメージハンプでの盛り上がり効果では、約50cm前後の盛り上がりを確認することができ、佐賀大学構内に設置されている既存のサイン曲線型ハンプにイメージハンプを仮設置し走行実験をおこなった。実験結果は、奥行きの問題で盛り上がり効果は低かった。奥行き長の問題に加え、設置しているハンプの色も影響したと考えられ、色を統一した上で再度実験を行ったが、予想以上の効果は得られなかった。2.縞パターンのバリエーションを変え、ハンプ上のストライプパターンと手前のパターンとの相互関係で効果を上げる方法を取り入れ、再度走行実験を行い、実験プロセスをもとに、錯視理論に基づいた効果的なデザインの思案をまとめた。3)平成24年度は実物大の実験道路での走行実験を行う前のシミュレーション実験として1/5サイズの実験道路での走行実験を行う段取りで進めていく計画である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
学会での論文発表やアート的視点からの錯視効果の公共空間での確認作業も同時に行い、現在までの達成度は当初の予定より進んでいるものと把握している。ただ、研究協力者が所属している佐賀大学での走行実験では、視点の高さと見かけの奥行き長の関係から、サイン曲線型ハンプ上に設けたストライプ型イメージハンプでは、大きな盛り上がり効果が期待できない結果も出ており、イメージハンプを手前と奥に独立させた融合型に切り替える方法にシフトする必要があるという結論を出した。また直線道路上に設置するイメージハンプにおいては、メロディーロードに活用している刻み、あるいは低めの円弧型ハンプとの組み合わせが最も効果的であることも判明した。これらの検証結果を今年度の実験モデルによる検証に活用する方向である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度の末に購入したカッティングプロッタを活用して走行実験用の縮小モデルを作成し本格的な検証実験に入る予定である。その準備が1年をかけてできたこともあり、本年度の研究は大きく進むものと考えている。走行実験用モデルはサイン曲線型ハンプと道路とを組み替え可能なノックダウン式の形式を取り、カッティングプロッタで作成した複数のアイディアサンプルを差し替えながら移動カメラによる盛り上がり効果を確認する計画である。 一方、ハンプとロータリー交差点との組み合わせシステムによる北欧諸国での調査を昨年度に行う予定でいたが、予定の日程に科研の審査等が重なり、今年度に計画を変更したため、上記の研究プロセスと並行しながら調査を進めて行く計画である。また昨年同様に美術館等での作品制作を通しての発表は、錯視効果の実験プロセスとして、今後も継続研究していくつもりである。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
走行実験用のモデルの制作および走行実験に関わる経費(特注を含む):250000円調査研究としての旅費および研究協力者との打ち合わせ等に関わる旅費:400000円作品制作を通しての美術館等での発表費および実験制作等に関わる経費:180000円学会発表に関わる旅費、論文発表等に関わる経費:120000円その他の経費(通信費、謝金等):50000円
|