2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内1分子計測法を用いた機械刺激によるSrcキナーゼ活性化機構の解析
Project/Area Number |
23612002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 剛 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40402565)
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Keywords | シグナル伝達 / 生物物理 / 1分子計測 |
Research Abstract |
「機械刺激によるSFK活性化に、SH2やSH3ドメインを介した分子間相互作用の他に、N末端の脂質鎖によるSFKの接着斑近傍への集積制御が寄与している」という作業仮説の検証を目指した。本年度は、培養細胞にSFK(SrcとFyn)あるいは、ホスファターゼRPTPalphaの蛍光プローブを接着斑のプローブと共発現し、生細胞の細胞膜上において多分子と1分子レベルの両方でライブ観察し接着斑近傍での動態を解析した。機械刺激負荷に関しては、細胞に接着したビーズを介し光ピンセットで力を直接負荷する方法に加え、低分子量Gタンパク質Rhoを薬理的に活性化し、ストレス線維の張力を高め、接着斑に対する牽引力を増加させる方法も用いた。機械刺激を負荷していない定常状態で、SFKのSH3ドメインを含むプローブやRPTPalphaのプローブは通常の蛍光顕微鏡観察において接着斑に強く局在するのが認められた。1分子レベルの観察では、接着斑上にそれらのプローブ分子が数秒間停留している様子が観察された。さらに、力を負荷した場合、接着斑に加え、他の細胞膜上でも停留する頻度が刺激後1分をピークに一過的に増加した。個々のプローブの停留時間も若干増加した。一方、SFKのN末端の脂質鎖のみを含むプローブは、通常の蛍光顕微鏡観察においては細胞膜表面全体に分布しているのが見られ、1分子レベルで観察すると、大部分のプローブ分子が脂質分子と同等な早い拡散運動を示していた。しかし、その運動の軌跡を詳細に解析すると、150ミリ秒ほど一時的に停留している分子が存在し、その出現頻度は力を負荷すると一過的に増加した。その停留の増加は、接着斑上、あるいはその近傍で顕著に見られた。これらの結果は、機械刺激前後のSFK動態制御には、SH3ドメインなどを介した分子間相互作用のみならず、N末端の脂質鎖も関与している可能性を示唆した。
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Research Products
(1 results)