2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23612003
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
辰巳 仁史 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20171720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早川 公英 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任講師 (60467280)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アクチン |
Research Abstract |
アクチン線維が力学受容の分子的な実体として働いることはこれまでの研究から明らかにされている。伸び縮み可能なアクチン線維束をガラスピペット先端に付けて、線維束を引っ張った状態、あるいは緩めた状態で保持し、そこに外部から蛍光ラベルしたコフィリンを投与して、線維束へのコフィリンの結合を分析したところ、緩んだアクチン線維束にのみコフィリンが結合した。このことから、アクチン線維の張力が減少するとコフィリンの結合サイトが現れてコフィリンの結合が促進することが示唆された。 われわれは、力をアクチン線維に負荷するとアクチン線維の張力が増加し、アクチン線維を構成しているGアクチン分子間の運動の自由度が下がるのではないかと考えている。それによって、アクチン線維の長軸の周りの回転が抑制されて、その結果コフィリンの結合サイトがコフィリンに対して露出しないというものである。コフィリンを結合したアクチン線維の電子顕微鏡画像はアクチンのねじれピッチの変化を示唆している。この結果は、コフィリンの結合におけるアクチン線維のねじれの重要性を示唆するものである。したがって、考えられる最も有力な仮説は、アクチン線維への伸長刺激は、アクチン線維を構成しているGアクチン分子間の運動の自由度を下げてアクチン線維の長軸の周りの回転を抑制し、その結果コフィリンの結合サイトがファイバーの外部に露出しなくなるというものである。 この仮説を検討するために、アクチン線維にガラスビーズを取り付け、このアクチン線維をカバーガラスに接着することで、カバーグラスからアクチン線維のついたガラスビーズをぶら下げる実験系を構成する。この実験系にコフィリンを投与して、コフィリンのアクチン線維への結合によりアクチン線維がねじれてガラスビーズの回転が生じるかどうか、またその後にアクチン線維の切断が生じるかどうかを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究概要に示した仮説を検討するために、アクチン線維にガラスビーズを取り付け、このアクチン線維をカバーガラスに接着することで、カバーグラスからアクチン線維のついたガラスビーズをぶら下げる実験系を構成することができた。またこの測定装置をつかったアクチンの運動測定を行なっている。よっておおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
アクチン線維への伸長刺激は、アクチン線維を構成しているGアクチン分子間の運動の自由度を下げてアクチン線維の長軸の周りの回転を抑制し、その結果コフィリンの結合サイトがファイバーの外部に露出しなくなるという仮説を検証する方向で研究を推進する予定である。そのために、アクチン線維にガラスビーズを取り付け、このアクチン線維をカバーガラスに接着する。これによりカバーグラスからアクチン線維のついたガラスビーズをぶら下げる実験系を構成する。この実験系にコフィリンを投与して、コフィリンのアクチン線維への結合によりアクチン線維がねじれてガラスビーズの回転が生じるかどうか、またその後にアクチン線維の切断が生じるかどうかをひきつづき検討予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アクチンやコフィリンなどのタンパク質分子、蛍光試薬、ビーズなどの観察用の消耗品、および光学装置の機能アップに必要な光学部品を計上する予定である。
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