2011 Fiscal Year Research-status Report
染色体分配を司る有糸分裂後期紡錘体の伸長メカニズム:紡錘体の発生力の定量的解析
Project/Area Number |
23612006
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
板橋 岳志 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (20434384)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 紡錘体 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
紡錘体の伸長によって、染色体が娘細胞に正確に分配される有糸分裂後期の制御メカニズムは、多くの分子の分子生物学的同定や、細胞生物学的な観察に基づく分子機構の予測を中心に研究されてきた。本研究では、染色体分配機構における"紡錘体が発生する力"を、MEMS力センサー法などの生物物理学的手法を加味することによって定量化し、時間的・空間的に解析する。また、その力を発生するモータータンパク質類のそれぞれの寄与の程度を定量化する。これにより、有糸分裂後期から細胞質分裂にいたる"力"の役割を反映した染色体分配制御モデルを構築することを目的とする。染色体分配開始後、姉妹染色分体が両極へと分離された後、主に分子モーターであるキネシンの発生する力に加え、細胞膜に局在する細胞質ダイニンの微小管をたぐり寄せる力によって、後期紡錘体は両極に伸長していく(中心体間距離が増加する)。本年度は、有糸分裂後期に紡錘体が発生する力の測定を試みた。有糸分裂中期の培養細胞(HeLa細胞)の紡錘体の極間方向に、板状の力計測用MEMS力センサーと細胞保持用MEMSカンチレバーを配置させた。染色体分配を開始した後、紡錘体の伸長による細胞の変形に伴って力計測用のMEMS力センサーは曲げが観察された。その力センサーの曲げから発生力を定量的に計測することに成功した。現在、アクチン細胞骨格を阻害した場合の発生力、紡錘体伸長の度合いと発生力の関係等を詳細に解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた実施目的の"紡錘体の発生する力の計測"に成功し、研究内容を順調に達成している。
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Strategy for Future Research Activity |
計測された力を発生するモータータンパク質類のそれぞれの寄与の程度の定量化、及び外部負荷に対する紡錘体伸長と細胞質分裂の応答解析を、現在得られている結果を発展させながら、計画通りに推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、得られた研究成果の重要性を考慮して、海外での成果発表を控えたため、次年度への繰越研究費が生じた。次年度は、より効率的に力を計測するため、紡錘体の伸長方向を規定できる細胞を接着させる培養ディッシュの実験系への導入を新たに使用計画に加える。
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