2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける人を対象とした遺伝子解析技術の利用実態とその社会的課題
Project/Area Number |
23613003
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
洪 賢秀 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (70313400)
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Keywords | 遺伝子検査 / 東アジア / インタビュー調査 / 社会的・倫理的問題 |
Research Abstract |
[研究背景および目的] 本研究では、東アジア、とりわけ日本と韓国において、人を対象とした遺伝子解析技術に対して、どのような対応をしているのかを比較検討することで、規制状況の異なる日韓における遺伝子解析技術の社会的背景を明らかにすることである。また、これらの分析を通して、東アジアにおける遺伝子解析技術の有効活用や理解を深めるための課題を抽出するとともに、その施策を模索する。 [研究方法および結果] 前年度に実施した日本・韓国・台湾の一般市民を対象に実施した「遺伝子検査」に関するWEB意識調査やフォーカス・グループインタビュー調査の結果を踏まえて、フォローアップ調査を実施した。その結果、日本では、全体的に「遺伝子検査」への関心は低く、検査結果が社会で差別を生じさせるのではないかという懸念が示唆された。また出生前検査等については、妊娠を維持する判断基準として有用であること、異常が見つかる場合、判断が難しさいとされ、最近登場した「新型出生前検査」については、気軽さには肯定的な意見が多いなか、障がいのある子どもを産みにくい社会、障がい者が生きにくい社会を作ると反対の立場もみられた。一方、韓国のフォローアップ調査としては、「新型出生前検査」の実施状況について調べた。その結果、一部の病院において中国のBGI社の検査を導入・実施していたことが明らかになった。また、「新型出生前検査」導入における社会的な議論はなされていない。「生命倫理安全法」で「遺伝子検査」に関しての管理・監督について規制されている反面、新しい技術の導入に関する検討や議論を牽引するようなシステムまでには至っていない。 [今後の課題] 以上のような結果から、日韓の一般市民に「遺伝子検査」の有用な利用をしてもらうためには、提供者側や規制側が総合的で分かりやすい情報発信のあり方が喫緊の課題として明らかになった。
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Research Products
(6 results)