• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2012 Fiscal Year Research-status Report

パーソナルゲノム時代の生命・医療倫理の深化と社会との接点

Research Project

Project/Area Number 23613004
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

福嶋 義光  信州大学, 医学部, 教授 (70273084)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 櫻井 晃洋  信州大学, 医学部, 准教授 (70262706)
涌井 敬子  信州大学, 医学部, 助教 (50324249)
Keywordsパーソナルゲノム / 次世代シークエンサー / マイクロアレイ / 遺伝学的検査 / 遺伝カウンセリング / 遺伝子診断ビジネス
Research Abstract

パーソナルゲノム解析の生命倫理課題,有用性の評価法,精度管理,啓発・教育方法,情報提供のあり方等について,検討するために,今年度は,下記の取り組みを行った.
1.「欧州における臨床遺伝サービスの質向上と基準の統一」の翻訳および検討:ヨーロッパにおいては,大学・研究機関を中心とする遺伝子解析機関がネットワークを構築しており,質,効率,費用効果が高い遺伝学的検査サービスを患者に提供することが可能となっている.わが国の制度設計を考える際,参考にすべきである.
2.ESHG2012,ASHG2012等を通じての情報収集:次世代シーケンス解析技術を用いたターゲットエクソーム解析,全エクソーム解析,全ゲノム解析など,網羅的にヒトゲノムを解析する技術が研究から診療へと急速に導入されている状況が報告された.欧米においては,研究での利用については,従来どおり,十分な情報提供を行った上でのICを実施することで対応しているが,診療を目的に行われたエクソーム・全ゲノム解析における偶発的所見の扱いについては,診療を目的としていること,臨床遺伝専門医が関与していること,十分な遺伝カウンセリングが実施されていることなどの条件下で,開示することが推奨される疾患リストが公表されている(ACMG,2013).
3.研究代表者・分担者・協力者の連携と社会活動:研究代表者,分担者,および協力者は,つねにメール等により連携,意見交換を行い,わが国における問題点を整理している.現在,社会的にも関心の高い「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」について,2013年3月9日に5団体(日本医師会,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本人類遺伝学会)による共同声明が公表されたが,研究代表者はこの共同声明作成にも深く関与している.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

米国および欧州におけるパーソナルゲノム時代を迎えての取り組みについて,現時点では,十分な情報を集めることができた.しかし,この領域は日進月歩であり,これからも継続して,情報収集に努める必要がある.
研究代表者,分担者,協力者による検討を基礎に,日本医学会に「遺伝子・健康・社会」検討委員会が設立された.今年度は「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」についての5団体(日本医師会,日本医学会,日本産科婦人科学会,日本産婦人科医会,日本人類遺伝学会)の共同声明に基づき,本検討委員会に,NIPT実施施設認定・登録部会が設けられ,倫理的課題の多い出生前診断についての一定のルールが定められたことは,本研究の成果の一つである.

Strategy for Future Research Activity

1.パーソナルゲノム解析の生命倫理課題:継続して,諸外国の取組みに関する情報を収集するとともに,わが国の文化,社会にパーソナルゲノム解析技術を導入するための課題を整理する.
2.パーソナルゲノム解析の有用性の評価法の検討:諸外国の取組みを参考としつつ,1)浸透率の高い単一遺伝子疾患の診断・スクリーニング,2)多因子病のリスク判定,3)罹患者の予後予測,4)薬物の効果予測・副作用予測,5)ビジネスとして提供される遺伝子解析,の5分野ごとに評価に必要な項目を提案する.
3.遺伝子診断ビジネスの実態調査:2.で提案した評価法に基づき,ビジネスとして提供される遺伝子解析について,集めた情報に基づき有用性を評価する.
4.遺伝学的検査法の精度管理:諸外国の取組みを参考としつつ,分子遺伝学的検査,細胞遺伝学的検査,マイクロアレイ染色体検査など,それぞれの検査の精度管理に必要な項目のうち,わが国では,まだ準備されていないものを明らかにし,関連学会・団体と協同で,人材養成など,遺伝学的検査法の精度管理に必要な体制整備を開始する.
5.啓発・教育方法,情報提供のあり方:諸外国の取組みを参考としつつ,わが国の一般社会に受け入れられやすい啓発・教育のためのコンテンツを作成し,公開する.パーソナルゲノム時代の生命・医療倫理の深化と社会との接点に関する検討するために,シンポジウム・市民公開講座を開催し,本研究成果を関連学会関係者および一般市民に開示し,助言を受ける.本研究の成果物を関連学会と連携し,継続して公表できる形でホームページ上に掲載する.さらに,本研究で作成した提案を国,学会,関連団体等にはたらきかけ,課題解決に結びつける.

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

国際的な状況に関する情報収集のために,欧州人類遺伝学会,米国人類遺伝学会等に参加する(海外旅費).海外文献の翻訳を継続して行う(委託費).研究代表者,分担者,協力者が集う班会議を開催する(会議費,旅費).遺伝子診断ビジネスの実態調査を行う(調査費).教育コンテンツを作成する(印刷費),等.なお,当初計画で見込んだよりも安価に研究を遂行することができたので,次年度使用額が生じた.

  • Research Products

    (4 results)

All 2013 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Follow-up nationwide survey on predictive genetic testing for late-onset hereditary neurological diseases in Japan.2013

    • Author(s)
      Keiko Tanaka, Yoshiki Sekijima, Kunihiro Yoshida, Mariko Tamai, Tomoki Kosho, Akihiro Sakurai, Keiko Wakui, Shu-ichi Ikeda, Yoshimitsu Fukushima
    • Journal Title

      Journal of Human Genetics

      Volume: 58 Pages: in press

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 難治性疾患克服研究事業と遺伝カウンセリング2012

    • Author(s)
      福嶋義光
    • Journal Title

      Jpn J Genet Counsel

      Volume: 33: Pages: 181-184

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 難治性疾患克服研究事業と遺伝カウンセリング

    • Author(s)
      福嶋義光
    • Organizer
      第36回日本遺伝カウンセリング学会学術集会
    • Place of Presentation
      松本
  • [Presentation] 疾病中心から患者中心の希少難治性疾患研究を可能とする患者支援団体と専門家集団とのネットワーク構築

    • Author(s)
      福嶋義光,松原洋一,野村文夫,斎藤加代子,高田史男,小杉眞司,玉置知子,櫻井晃洋,関島良樹,涌井敬子,加藤光広,小泉二郎
    • Organizer
      日本人類遺伝学会第57回大会
    • Place of Presentation
      幕張

URL: 

Published: 2014-07-24  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi