2012 Fiscal Year Research-status Report
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23613005
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山崎 康仕 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (00200668)
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Keywords | 生命倫理規範 / 法哲学 / 医療倫理 / ヒト胚研究 / バイオエシックス |
Research Abstract |
本研究の目的は,ヒト胚研究規制の制度化にあたってどのような視座または視点が必要とされているのか,とくにわが国におけるその種の規範形成においてどのような原理原則を採用することが望ましいのかを理論的かつ実証的に探究することにある。 それを具体化する研究目的としては,第一に,生命倫理規範形成で先行してきた欧米型の生命倫理規範の構成原理および特質とその限界とを析出すること,第二に,倫理規範を法制度化すること伴う固有の問題を析出し,法制度化の限界と効用を明確化すること,第三に,ヒト胚研究規制において欧米型の生命倫理規範(特にそのヒト胚観)が普遍的な規範たり得るかという問題を解明することである。 2011年度にすでに,具体的な研究目的の第一にあげた「欧米型生命倫理規範の構成原理および特質と限界」,および具体的研究目的の第二にあげた「倫理規範の法制度化に伴う諸問題,とくに法制度化の限界と効用」についての基礎的な探究をおこない,2012年度には,拙訳・国際連合「達成可能な最高水準の健康に対する権利」おいて,それら基礎的研究を確認する方向での研究をおこなった。 さらにマレーシアで開催された第13回アジア生命倫理学会(8月27日~30日)に参加して,生命倫理規範の制度化をめぐる問題について意見交換をすると共に,韓国の研究者にインタビューをおこない,情報交換および意見交換をおこなった(9月8日~11日)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいる。ただ,具体的な研究目的の第一にあげた「欧米型生命倫理規範の構成原理および特質と限界」,第二にあげた「倫理規範の法制度化に伴う諸問題,とくに法制度化の限界と効用」そして第三にあげた「欧米型の生命倫理規範の普遍化可能性」のいずれにおいても,より根元的な理論的研究や詳細な実態研究のために,なお一層の文献研究及び調査研究が必要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度と同様に,「欧米型生命倫理規範の構成原理および特質と限界」と「倫理規範の法制度化に伴う諸問題」を考究し,それらを通してヒト胚研究規制の制度化について探究する研究を進める。ただ,今年度は,研究の最終年度になるため,これまでの研究を一応まとめる方向での研究も進める。 方法としては,文献研究を中心とする理論研究と,調査研究を中心とする実証的研究を行うと共に,国際学会等において海外の研究者と意見交換を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
(1)「欧米型生命倫理学の特質と限界」と「ヒト胚研究規制におけるGlobalizationとLocalism」について,引き続き理論的研究と実証的研究をおこなう。 (2)わが国の「在るべき」ヒト胚研究規制についての原理的研究および法制度的研究をおこなう。 (3)国際学会等での意見交換: 8月に釧路で2つの国際学会に主催による生命倫理国際シンポジウムが開催される。すなわち、IALES (=International Association of Law, Ethics and Science)主催の“International Conference on Bioethics and Ethics of Science”と、ISCB (= International Society for Clinical Bioethics)主催の“10th Conference of SCB”である。これらに参加して、内外の研究者との意見交換をおこなう予定である。
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Research Products
(2 results)