2012 Fiscal Year Research-status Report
中国移植ツーリズムに関する社会調査の実施とそれに基づくELSIの検討
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23613006
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
粟屋 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20151194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大林 雅之 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (50176989)
小河 達之 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助手 (10346421)
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Keywords | 中国死刑囚移植 / 移植ツーリズム / 社会調査 / アンケート調査・聞き取り調査 / 生命倫理政策形成 / 臓器移植 / 移植患者 |
Research Abstract |
平成24年度(第2年度)は予定通り社会調査(アンケート調査及び聞き取り調査)を実施した。具体的には、まず第一に、平成23年度(初年度)に札幌市の腎臓移植医を通じて発掘していた北海道在住の患者さん(10人)を対象に平成24年4月、アンケート調査を実施した(全員から回答あり)。そのうち5人には聞き取り調査を行った。 3月末日までの段階(15人分)のアンケート調査結果の概要(重要部分のみ)は下記の通りである。 腎臓はうまく機能していますか、という問いに86%の人がYESと答えている。中国の移植技術の水準については79%の人が高いと思うと答えている。現地の医師や看護師は好意的であったか、との問いには93%の人がYESと答えている。ドナーが死刑囚であることの説明を受けたか、との問いには64%の人がNOと答えている。中国で移植を受けることに葛藤や迷いがあったか、との問いには53%の人がNOと答えている。中国で移植を受けたことを後悔しているか、との問いには80%の人がNOと答えている。臓器提供者、医師、海外渡航移植援助業者に感謝しているか、との問いには、それぞれ、86%、100%、100%の人がYESと答えている。 聞き取り調査に関しては、札幌、高知、岡山、大阪、静岡などに在住する患者さんに面会して詳細な情報を得た。彼らからは、自己の行為は間違っていないとする心情等が読み取れた。 ほか、平成25年3月下旬、海外渡航移植援助業者を通じて30人の患者アンケートを発送した(5月現在、6名から回答を得ている)。なお、同じく3月下旬、本調査についてNHKのインタビューを受けた(4月5日ほか放映済み[中国地方のみ])。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り本研究のために時間、労力、資金(=科研費)等を投入したため、 また、とくに研究の進行を妨げるような事態も発生しなかったため、順調に進展した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、調査を継続するとともに、結果の分析(統計学的解析)を行う。その上で、中国移植ツーリズムにまつわるELSI(倫理的、法的、社会的問題)を抽出し、それらへの対応策を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費使用に関しては、平成25年度は24年度と同様、調査実施のために実際に日本各地の患者さんに会うことになるので、科研代表者、分担者、連携研究者、研究支援者等の旅費、宿泊費支出が主要なものとなる。
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Research Products
(8 results)