2011 Fiscal Year Research-status Report
ヘルスツーリズムの基盤づくり-地形療法コースの策定-に関する研究
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23614001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大塚 吉則 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70233187)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 森林浴 / ノルディックウォーキング / ウォーキング / 酸素摂取量 / 代謝量 |
Research Abstract |
【歩行コース設定とウォーキングの種類】自然環境、特に緑の多い森林環境の中で行う歩行運動の効果を測定するため、まず初めに歩行コースを二カ所設定した。一カ所目は北海道千歳市にある泉沢自然の森で、千歳空港から近いことと、中高齢者の健康増進教室を行っていたことからである。二カ所目は北海道大学構内であり、その理由は敷地面積は一つのまとまったキャンパスとしては旧国立大学の中で一番広く、緑が豊かで、その一部は森林浴コースにもなっているからである。千歳市ではデータロガー式(呼吸)代謝計測システム(K4b2)を装着して、通常のウォーキングとストックを用いたノルディックウォーキングを行い、代謝量を測定して両者を比較検討した。ノルディックウォーキングは歩行時にストックを後方へ押し出すようにすることにより、上半身の筋力増強に役立つとともに、歩行時の安定感が増し、さらに下半身への体重負荷が減ることにより、膝・腰などに比較的負担をかけずに運動を行うことが可能で、現在健康づくり教室では広く推奨されている歩行法である。【歩行結果】泉沢自然の森で行った30分間の歩行比較実験では、ノルディックウォーキングを行うことにより、ストックを用いない通常のウォーキングより、1分当たり約210㎖の酸素摂取量が増加していた。これは身体活動強度(MET)からみれば、およそ1.2METSの増強に相当しており、ノルディックウォーキングの特性が現れている。さらに北海道大学構内で行った実験結果では、歩行運動を繰り返し行う場合、ノルディックウォーキングに快感情の増加や動脈硬化指数の改善が認められており、同じ森林浴を行う場合、ノルディックウォーキングの方が生活習慣病の予防、改善に有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代謝測定装置の準備、装着、測定解析は熟練を要し、失敗のデータを得ることもある。装置が1台しかないので、中々測定データを増やすことができない。しかし、装置を装着しないで行った北海道大学での実験は論文化を予定しており、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はいかにして代謝測定装置を有効に活用するかが最大の課題である。そのため、代謝測定装置装着時に、心拍数から代謝量を推定する装置を購入したのでその装置も同時に装着し、両者の相関を検討して、代謝測定装置装着者と非装着者が同時に森林歩行をできる体制にして、測定データを増やしていきたい。また、千歳市へ出向くよりも、身近で観光地化している緑豊かな北海道大学構内での測定を優先し、森林浴マップを作成して当初の目的を達成するのが現実的な方策と思われ、推進していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度の謝金として3万8千円未使用額が生じた。これは屋外での調査実験であるため天候に左右されることと、特に謝金が発生しない状況下での実験を行ったことによる。この未使用分は24年度の予算と合わせて謝金として使用したい。
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