2011 Fiscal Year Research-status Report
観光地のライフサイクルに配慮した、地域計画に関する研究
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23614018
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
中鉢 令兒 北海商科大学, 商学部, 教授 (50188497)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | TALC(観光地の寿命モデル) / PLC-Profits(経営)モデル / パターンモデルの有効性 / 観光振興施策 |
Research Abstract |
23年度の研究の進行の枠組みは、観光モデルの整理と北海道の代表的観光地での具体的検証と広域エリアの調査と考察の3項目である。以下にその結果は次のようにをまとめられる。1)本論の基本となるモデルの、TALC(観光地の寿命モデル)、PLC(商品寿命)、S.Plogモデルの相互関係を整理した。(日本都市学会年報44号にて公表)また、TALCの特徴のある観光箇所(軽井沢、小布施、エアーズロック・リゾート、バリ島など)のタイプ特徴を考察した。(日本観光研究学会26号にて公表)2)具体的事例研究では、各要素の含まれている、知床観光のTALCを分析考察し、再生の方法について過去の調査結果をもとに分析した。また、知床圏の文化観光の一つである、アイヌ文化の関する要素の先行事例として、徳川義親の八雲の熊彫り文化の創出と衰退を具体的に調査した。この調査は、TALCの文化による再生の限界と課題について整理し、その可能性について考察をしている。文献調査が進行中である。3)広域ゾーンとして九州北部のTALCを作成し、キーワード都市の観光資源の創造と再生に関してフィールド調査を試みた。MICE政策を基軸に展開している北九州市、保養地の多様なメニューを提案している別府市、旧来の湯治文化の現代化を進めている竹田市を対象都市とし、観光資源の現状、担当行政官の聞き取り、観光産業従事者の意見などを収集した。平成23年度は、東日本大災害の影響もあり、データー的には、特殊性も見受けられ24年度に精力的に資料収集することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TALCモデル化の調査箇所は当初の7ヶ所としていたが、東日本大震災害復興とTALCモデルの活用を配慮し、松島、塩釜の現地調査をした。以下要点を記載すると、1)特徴的な都道府県のTALCを導き出す(行政官庁の資料を活用する)の予定に従い3都道府県と5観光都市の観光資源を整理した。広島県、福岡県、熊本県、盛岡市、松島・塩釜(仙台市)、北九州市、別府市、竹田市2)TALC の上記の都道府県について、都道府県の観光データよりパターンモデルの類型を分類、特性の把握をした。特に「イベント」「新しい施設」「新しいアクティビテ」による集客効果を期待される箇所については、観光都市と複合させて調査した。多くの都市で、増化傾向が認識された。しかしその継続性は、地域によって異なり、都道府県レベルでは、顕著な例は見られなかった。3)集客政策の中心であるMICE観光政策と門司地区の再開発を進めている北九州市でヒヤリング調査をし、併せて観光客入込数を収集した。概括的考察では、ソフト施策の有効性がみられ、ソーシャルキャピタルの重要性が挙げられる。こうしたソフト施策は、他の観光箇所でも検討が求められ点が課題として残った。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画に基づき、都道府県1ヶ所(岩手県を予定)、観光圏1ヶ所(信越観光圏)、重複箇所1ヶ所(未確定)のTALCの詳細を、明らかにする。また、発展期が続く沖縄県の背景に関して、詳細に調べ施設に頼らない観光振興のあり方に関して考察をする。竹富島など独自の観光開発を進めている地域で事例を採取する。他方震災地域の観光復興を意識し、北東北地域のTALCと復興1年目の数字を検証し、災害時におけるTALCの活用方法を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度は、東日本大震災の影響下で、データ的にも変則的であると推測された。したがって現地調査は、極力経費を抑え次年度の調査へと後送りした。本年度は、影響が少ないと思われる沖縄、当該地域東北、周辺地域信越、近隣地域上川周辺に対象を絞り、調査を進める。調査の旅費が、85%~90%を占めるが、不足分は、自己負担によって解消する。研究の内容上、現地調査なしでは、考察に実体性が伴わず、移動交通費が多くを占める。 また、記録保存用CDR、DVDなどの経費、資料購入費、郵送運搬費などが10%程度予想される。また人件費は、極力減らし小まめに研究者が記録することによって解消する。前年度未使用の図書費は、所属図書館、個人図書費の活用によって処理したが、その方針は変えずに最終的な確認図書の購入費に予定している。
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