2013 Fiscal Year Research-status Report
観光地のライフサイクルに配慮した、地域計画に関する研究
Project/Area Number |
23614018
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
中鉢 令兒 北海商科大学, 商学部, 教授 (50188497)
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Keywords | TALC(観光地の寿命モデル) / Fad 現象 / パターンモデルの有効性 |
Research Abstract |
25年度は、TALCのFad現象を中心に調査を進め、全体をまとめた。 ①堺港 TALCのFadを分析した。この手法は、久喜市の鷲宮神社の地域づくりの指針となると指摘した。:境港の観光地化は、水木しげるの出生地を活かした観光動機づくりを、行政主導で進めた点である。1992年に事業着手された妖怪まちづくりは、その時代には画期的なものである。また水木しげるの漫画の設定が、超時代性であり世代を超えて読まれた点が、一過性のアニメ巡礼にならなかった点である。しかし境港の成功事例は、観光地整備なくしては存在しない。2012年のデータによる境港主要観光箇所と観光入込数の相関関係で考察し、水木しげるロードの重要性を明らかにした。すなわち観光動機の殆どが水木しげるロードに依存している。2003年には、水木の世界を展示した水木しげる記念館が設置され、この重要性についてパス図によって明らかにした。 ②香川県のTALCと直島の観光地化を考察した。土木建築から文化による観光地づくりについて、直島での役場とベネッセ株式会社との、協働を現地調査した。またその将来の展望を確実にする、瀬戸内国際芸術祭によるTALCの変容ついて分析し、Fadの重要性を確認した。このFadを生かす新たな取り組みについて、2013瀬戸内国際芸術祭の広域化によってその有効性を確認した。 また近年観光振興に重要な要素となっているメディアによるFad現象は、それ以前における観光地整備があることが有効である点を、金沢市の観光振興とTALCによって確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TALCの25都市、町村を作成し、観光振興に汎用性のある事例について整理した。全体の進行状態としては、①基本理論の整理 ②TALC共通パターン(沖縄、北海道、香川)の事例の考察 ③TALC特殊パターン(Fadの観光振興への展開:金沢、境港、震災復興神戸、久喜)④停滞期のTALCを強化期に改善(別府、黒川、湯布院、軽井沢)について整理がおわり、小冊子(P37)にまとめた。調査に協力していただいた、市町村への配布を予定している。 市町村のアンケートは、ヒヤリング段階でTALCの概念がいまだ知られておらず、むしろこの周知が重要と認識し現地調査を中心に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
①さらに進展している欧米のTALCの観光振興の研究成果を付加する必要と、Fadの背景であるJ.アンリの「まなざし」によって生まれる、新たな観光地への取り組み方法について分析する必要がある。ドラマや、アニメによって作られる観光資源は、高度情報化社会の特異な存在である。こうした点を今後さらに分析するのが、今後の研究の方策である。 ②本研究は、実証・実践的内容のため、さらに同じ視点での追跡調査が必要である。また、この内容を生かして頂くために、報告書の配布を計画している。 ③欧米では、アートによる街づくりが盛んである。特に現代芸術が、作り手が同時代の人といった観点から協働が可能といった点から注目されている。直島などもその例で、家プロジェクトの意義を確認することも不可欠かと思われる。 以上の3点が今後の研究の課題と進め方と思われる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究報告書の作成が、調査を3月まで実施したため、遅れを生じた。それによって、印刷代が未払いのため78,000円の残額が生じた。現在印刷を進め、5月中には納品の予定である。 A4版 40ページの報告書200冊を予定していたが、諸般の事情で予算内では100冊になった。不足分は、自助努力によって解消します。
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