2011 Fiscal Year Research-status Report
訪日外客市場における通訳ガイドサービスの評価尺度開発
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23614019
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Research Institution | Bunkyo University |
Principal Investigator |
高井 典子 文教大学, 国際学部, 准教授 (90540435)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 訪日外客 / 通訳案内士 / サービス品質 / 尺度開発 |
Research Abstract |
本研究の目的は、我が国が推進する観光立国政策における訪日観光の現場を支える通訳案内士(以降、通訳ガイド)が提供するサービスの評価尺度の開発である。 本年度の前半は、サービス・マネジメント分野における研究の蓄積をレビューした。その結果、汎用モデルとして多くのサービス業において実用化が見られるSERVQUALモデルの知見を一部活用しつつも、日本における通訳ガイドが置かれている文脈を考慮に入れ、そのサービスに特有な要素についてもカバーできる尺度の開発が必要であることが確認された。 そこで、年度後半には「通訳ガイドのサービス評価基準」について、多様な当事者による認識を吟味することを目的とし、現役の通訳ガイドおよび旅行会社の訪日外客向け商品の担当者を対象とするインタビューを開始した。初期インタビューの分析結果から、通訳ガイドと旅行会社のあいだでいくつかの認識上のギャップが明らかとなった。その中で特に大きなギャップは、通訳ガイドの専門的能力の見せ所である「ガイディング」に対して旅行会社があまり重視せず、むしろ「旅程管理能力」を重視している点である。 また、団体ツアーと個人・小グループのツアーとでは、通訳ガイドサービスに求める品質が異なることも推察された。 訪日外客が我が国への再訪意向を形成するような、満足のいく旅行体験を得るためには、通訳ガイドが提供する管理能力とガイディング能力の双方(さらには対人関係能力等)が必要と予想されるが、顧客がそれぞれの能力をどのように知覚しているのか、また、どのようなツアーの状況・文脈において評価しているのかを明らかにすることが尺度開発に当たって重要であると考えられる。よって平成24年度は訪日外客へのインタビューにも着手し、通訳ガイドサービスに関する評価尺度の仮説的モデルを構築する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、文献レビューを実施し、その上で現役通訳ガイドおよび旅行会社へのインタビューに着手した。申請時点ではインタビューは2年目に実施する予定だったが、文献レビューの過程で、日本の通訳ガイドが置かれている文脈を十分に考慮に入れた尺度の開発が必要であることがあらためて確認されたため、通訳ガイドの実態や現場での実感をより幅広く知る必要性があると考え、予定よりも若干前倒しでインタビューを開始している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の前半は、訪日外国人旅行者に対するインタビューを実施する予定である。平成23年度の研究成果から、団体ツアーと個人・小グループのツアーとでは、通訳ガイドサービスに求める品質が異なることも推察されたため、市場全体の過半数を占め、かつ現在増加傾向にある後者を主な対象として、今後の研究を進めていくこととする。後半には、インタビューの結果をもとに、通訳ガイドが提供するサービス価値を仮説的に項目化し、質問紙を作成する。その後、小規模なテストを実施して質問紙の修正を行い、次年度に予定している大規模調査に向けた調整を行う。 次年度使用額が16万円強あるが、これは申請時には2年目以降に実施する予定であったインタビューを前倒しして行うために、初年度には費目のなかった「謝金等」にあたる予算を前倒し請求したために発生したものである。この予算については上記のように、平成24年度引き続き執行する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の前半においては、通訳ガイドおよび訪日外客へのインタビューが研究費の主な使途である。謝金、交通費、会場代、テープ起こし、翻訳費用等への支払いを予定している。 平成24年度の後半においては、仮説的モデルに基づいて作成した質問紙を用いた小規模なテスト調査を訪日外国人旅行者向けに実施する。その際の回答者確保のために外部調査会社を利用、または直接確保の場合には謝金として研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)