2011 Fiscal Year Research-status Report
就業機会としてのツーリズムの持続可能性を探る-沖縄県を事例に-
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23614021
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
金城 盛彦 東海大学, 政治経済学部, 教授 (30317763)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 組織コミットメント / マッチング効果 / 沖縄県 / ツーリズム / 社会調査 / 直交表 |
Research Abstract |
本研究は、先行のマクロの視点に、就業機会といったミクロに立った視点を加え「総合的なツーリズムの持続可能性」を検証する研究です。沖縄県の基幹産業であるツーリズムの持続可能な雇用機会創造の可能性について、沖縄県の人的資源と就業機会としてのツーリズムのミスマッチを調査・分析するのが主眼です.具体的には「組織コミットメント」、「サーチ・マッチング理論」といった行動科学の斬新な理論を用い、平成23年度には、高橋(1997)やJILPT(2003)を参考に「組織コミットメント」に、平成24年度には。戸田(2008)を参考に「サーチ・マッチング理論」に基づいた調査を実施する予定でした。 しかし、調査効率の向上のため、平成23年度に一挙に両理論に基づく予備調査の実施に若干の変更を加えました。平成23年度初頭には、同変更を反映した調査票を完成させました。しかし、調査は、東日本大震災による、東北地方をはじめとする、入域観光客の激減に基づく調査対象企業からの実施延期要請を受け、平成24年初頭にやっと実施出来ました。よって現在、調査結果の詳細な検討には至っていませんが、総数300名の従業員の内、251名の高回収率を実現し、欠損回答も少ないことから、高橋(1997)、JILPT(2003)等の検証結果との比較を通じ、従業員の「組織コミットメント」に加え、従業員の就業経験と、ツーリズムの生産性、すなわち「マッチング理論」の観点から、就業機会としての沖縄県のツーリズムの特性を明らかに出来るでしょう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成23年度上半期には、下半期の本調査に向け予備調査を実施する予定でした。当初、平成23年度と平成24年度と順に、「組織コミットメント」と「サーチ・マッチング理論」に基づいた調査を実施する予定でしたが、両理論に基づく調査を同時に行う方針に若干の変更を加えました。平成23年度春先までには、同変更を反映した調査票を完成させたので、今後の予備および本調査は、同調査票の若干の変更で進めることが出来ます。予備調査は平成24年初頭の実施になりました。この遅延は、東本大震災の発生に伴うツーリズムマーケットの混乱による、調査対象企業からの実施延期要請によるものであり、実施出来ただけでも幸運だったと言わざるを得ません。調査は平成23年度に「組織コミットメント」の視点からの調査票を作成、ツーリズムの持続可能性の予備調査と本調査を実施し、平成24年度には「マッチング理論」に基づいた調査票を作成、ツーリズムの持続可能性の予備調査と本調査を実施する予定でした。しかし、平成23年度に、調査票を2部に分け、それぞれ「組織コミットメント」と「マッチング理論」に基づいた質問を配する形の調査を行うことにしました。よって、確かに当初の計画の「組織コミットメント」に基づく分析は、予備、本調査と完遂していません。しかし、「マッチング理論」に基づく予備調査も実施したことで、調査全体の達成度で言えば、大きな遅延にはなっていないと言えます。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には、東日本大震災による遅れを取り戻し、当初計画通り「那覇市観光ホテル旅館事業協同組合」や「沖縄県ホテル旅館生活衛生同業組合」の会員企業(協力取付け済み)の従業員に対し、追加の数回の予備調査と経て、本調査を実施する予定です。平成25年度には、当初計画の進捗予定に完全に復帰し、はじめにそれまで使用した完全回答型の調査票を、直交表の考え方を用い大幅に質問項目を軽減します。次いで、同調査票を用いたコンジョイント分析を、予め残しておいた、同じ調査対象に対して行います。 平成24年度の調査は、対象企業に直接調査票を送る形で実施します。ただし、平成23年度の予備調査委託の受託状況を踏まえ、調査は、一般財団法人南西地域産業活性化センターに対象企業との仲介、および調査結果の一次集計等の作業を委託する予定です。具体的には、8月中に、対象企業を、大、中の規模別に分け必要サンプル数を再計算の上、ランダム・サンプリングにより、予備調査を行い、その結果を分析することで、調査の実行可能性を検証します。調査に不備が判明すれば、10月までに更に予備調査を実施し、再修正の上、平成25年初頭に本調査を実施します。 平成25年には、平成24年度に調査を依頼し、回答率の高かった企業の予め残しておいた従業員を対象に、再調査を行います。同じ企業に対して実施した完全回答型、コンジョイントの二種類の調査の結果を比較することで、直行表を用いたコンジョイント分析による調査負担の軽減が可能か検証します。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度の初頭には、東日本大震災による国内ツーリズムマーケットの混乱を受け、調査対象企業から調査実施の延長が相次ぎました。これを受け、当初は平成23年度に予定していた従業員向けの予備調査の実施は不可能と思っていたところ、平成24年初頭に、1社より予備調査受諾の連絡が入り、急遽実施することになりました。同時に、東日本大震災により平成23年度の科研費の繰り越し使用が可能になったため、予備調査は同繰り越し予算(\400,000)で実施しました(使途の変更は繰り越し申請時などを通じ申請済みです)。したがって、平成23年度は、予備調査延長に関する調整のための、いずれも計画額を超えない国内旅費(\212,160)と、その他と物品購入費(\21,300+\2,100=\22,400)、合計\235,560の支出に留まりました。 平成24年度は平成23年度に予定していたこの、2~3回の予備調査と、それを踏まえた本調査の実施を予定しています。調査は、平成23年度の委託費(\600,000)と平成24年度の委託費(\600,000)、合計\1,200,000を基本に行います。調査の集中により、打ち合わせ回数の増加が予定されるため、それは平成23年度の国内外旅費残額(約\260,000)と、平成24年度の所定の国内旅費(\280,000)、合計約\540,000を充てます。さらに、会議室使用料など同出張時の諸経費も、平成23年度の残額(約\80,000)に、平成24年度の所定\110,000、合計\190,000をもって充てます。外国旅行は、所定の国際学会参加費と、追加として可能であれば、夏期(予定)のWTO(世界観光機関)を加えたいと思います。これは、他国における類似研究や、ツーリズム関連の労働統計の収集と、同機関の研究者との意見交換のための訪問です。
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Research Products
(4 results)