2012 Fiscal Year Research-status Report
北陸・飛騨地域の伝統的文化・自然資源の観光的価値に関する研究
Project/Area Number |
23614027
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Research Institution | Toyama University of International Studies |
Principal Investigator |
高橋 光幸 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (30512264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成澤 義親 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (20326573)
佐藤 悦夫 富山国際大学, 現代社会学部, 准教授 (40235320)
浦山 隆一 富山国際大学, 現代社会学部, 教授 (10460338)
湯 麗敏 富山国際大学, 現代社会学部, 准教授 (00387333)
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Keywords | 伝統的文化 / 自然資源 / 観光価値 / 内発的価値 / 観光資源化 / 訪日中国人観光客 |
Research Abstract |
高橋:富山国際大学中国人留学生および富山県内居住中国人中年女性による北陸・飛騨地域の観光資源評価調査、北陸・飛騨地域の観光資源の保全および利用状況の実態調査、地域資源の観光的価値認識プロセスの調査を実施するとともに、東日本大震災後の地域資源に対する人々の意識についてまとめた。 佐藤:富山県五箇山において、外部との連携活動による遺産の保全と活用に関する聞き取り調査を行った。また、五箇山の遺産の保全と活用の在り方を検討するにあたり、比較研究のために平泉において行政への聞き取り調査を行った。 浦山:沖縄における地域環境改善や観光資源としても再認識されつつある「村抱護」林に着目し、北陸の屋敷林の地域内発的認識への応用を模索した。また伝統的文化理解の景観的価値に関し、韓国・鎮安市近郊の馬耳山を中心とした「宇宙軸としての山と集落」との空間構成的関連に観光的価値を見出す調査を行い、「馬耳山コスモロジー」構想を進めた。 成澤:観光価値やSIT(特定目的旅行)に関する基本文献の整理および先行研究の調査を行うとともに、中国における休暇制度や旅行許可制度の改革による中国人の観光動向を調査した。また、富山県立山町をターゲットとする観光客誘致に向けて具体的な活動計画を策定した。 湯:中国人の北陸・飛騨地域の観光資源評価調査を実施するとともに、富山を訪れた中国人観光客の属性、特徴、観光ニーズと観光資源および施設に対する関心度、満足度等について現地調査を行った。また、観光による異文化理解と交流についての考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高橋:北陸・飛騨地域における中国人観光客の動向と地域の対応状況、同地域の観光資源に対する中国人観光客(中国人留学生および富山県内在住の中国人中年女性)の評価、同地域の観光資源の保全および利用状況、地域資源の観光的価値認識プロセス、および中国人観光客が訪問する北海道、山梨県など全国各地の取り組みに関する調査が着実に進展している。 佐藤:外部との連携活動による遺産の保全と活用に関して、富山県五箇山や岩手県平泉で継続的に調査を実施し、またその成果の一部を総合観光学会で発表した。 浦山:観光における環境資源を見出す行為は、「認識・意味づけ・価値化」のプロセスが重要である。北陸・飛騨における環境資源の価値化には多方面にわたるアプローチが必要であろう。そのためには、各自が研究で培ったフィールドをもとに当地においても地域の認識を踏まえつつ意味付けする作業が必要になる。現在はその段階である。 成澤:概ね順調に進展しているが、基本文献の整理や先行研究の調査に比較して、旅行会社への聴き取り調査が十分に進んでいない。 湯:北陸・飛騨地域の観光資源に対する中国人観光客の評価および中国人観光客の異文化理解についての研究が着実に進展し、研究結果を論文にまとめ発表している。
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Strategy for Future Research Activity |
高橋:北陸・飛騨地域の観光資源に対する中国人観光客の評価を論文にとりまとめ観光系の学会誌に発表し、さらに地域資源の観光的価値の認識プロセスに関する調査結果を論文にとりまとめ地域政策系の学会誌に発表する。また北陸・飛騨地域の観光資源の保全に関する論文を本学部紀要に発表する。 佐藤:五箇山において外部との連携の在り方の調査を行うとともに、平泉や石見銀山の調査を行い、地域のコア観光資源の保全の在り方、外部と連携した活用の在り方などを研究し、調査成果を大学の紀要に投稿する。さらに、五箇山の観光資源の保全と活用の在り方に関して観光系学会誌に投稿予定である。 浦山:入善町民会館と一連の列柱建造物を取り上げ、住民の認識のレベルを上げる活動を通して、観光資源の価値化とはどのようなことに取り組むことかを提案する。また「かがわ・山なみ芸術祭~水から水へ・いのちと光の絆~」の行動活動の調査を通じて、今後の北陸における地域の自然・人文資源を活用した町おこしとしてのアート運動の可能性を探る。 成澤:引き続き先行研究の継続および旅行会社への聴き取り調査を行うとともに、「観光の成熟化」という観点から地域の観光資源の評価を行いたい。 湯:中国人の現在の外国観光の現状と動向、富山を訪問した中国人観光客のニーズ、外国人観光客を引きつける北陸・富山地域の魅力とその可能性について考察し、大学の紀要に発表する。 以上の他に、全員の研究成果を社会化するため、年度末に北陸・飛騨地域の観光関係者・行政・住民を対象としたセミナーを開催し、3か年の研究成果を公表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
高橋:前述した3本の論文をまとめるために、北陸・飛騨地域を含む全国の観光地に関する文献・資料購入費用、全国の観光地の現地調査のための交通費・宿泊費、年度末に開催する研究成果報告セミナーの費用などに研究費を使用する。 佐藤:平泉・能登・石見銀山での調査のための旅費に使用する。平泉では、地元の観光業者や行政への聞き取りを行い、外部との連携の実態と課題を調査する。能登では、地域おこし協力隊による外部連携の事例や東京の企業と連携している能登島の農場の調査を行う。石見銀山では、地域住民が主体となって行っている連携活動の調査を行う。 浦山:一地方に立つ建物の観光資源的価値を見出すため、建築家・大江宏設計の「入善町民会館」が地域建築に与えた影響に関する研究を進めるための現地調査交通費、「かがわ・山なみ芸術祭~水から水へ・いのちと光の絆~」の行動活動の調査を通じて、今後の北陸における地域の自然・人文資源を活用した町おこしとしてのアート運動の可能性を探るための交通費・宿泊費として研究費を使用する。 成澤:各地の調査のための交通費・宿泊費に研究費を使用する。 湯:研究用の図書の購入および現地調査のための交通費に研究費を使用する。
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Research Products
(6 results)