2012 Fiscal Year Research-status Report
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23614028
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西村 幸子 同志社大学, 商学部, 准教授 (30454482)
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Keywords | 観光旅行 / ヘビーリピーター / 質的研究 / 複線径路・等至性モデル |
Research Abstract |
本研究は、長年にわたって観光旅行を好んで頻繁に行う人々(いわゆるヘビーリピーター)を対象としてデプスインタビュー(深層面接法)による質的調査を実施し、彼らが継続的に積極的な旅行行動を行う背景やこれまでに影響を受けてきた要因について探索し、仮説構築することを目的としている。その成果によって旅行市場において重要なこのセグメントに対する理解の向上に資するとともに、観光行動研究における知見の体系化と理論構築に寄与することを目指すものである。 平成24年度においては、デプスインタビューの実施をすすめ、並行してその内容の分析も行った。2012年度前半までにインタビューが完了した3名から得たデータを用いて、「複線径路・等至性モデル」(サトウ2009、安田・サトウ2012)の枠組みによる分析を試行的に行い、得られた成果を日本観光研究学会第27回全国大会にて報告するとともに、論文として刊行した。質的データの分析手法としては、グラウンデッド・セオリー(Glaser and Strauss 1969))(あるいはその派生版であるM-GTA)やKJ法(川喜田 1967))などが知られているが、本研究が対象とするような個人が経験した認知や態度の変容が重要な意味を持つデータの場合、時系列で整理し、経験のプロセスを記述することができる「複線径路・等至性モデル」がより適切な手法であることが確認できた。 インタビューおよびその内容の分析は平成25年度においても継続する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ交付申請書に記載した平成24年度の研究計画どおりに進捗していると言えるため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度も、平成24年度に引き続き、デプスインタビューの実施とその内容の分析を進める。本研究においては、質的研究で一般に用いられる理論的サンプリングを採用しているため、調査の開始時点においてサンプル数を確定させることができない(Glaser and Strauss 1969)。したがって、今後は可能な限り異なった属性や旅行経験をしていそうなサンプルからデータを得ることによって、経験の多様性を見出しながら、「理論的飽和」に近づいていくための努力をする必要がある。 そうして得られたデータを分析した結果に基づいて、観光旅行のヘビーリピーターがなぜヘビーリピーターになっているのかについての仮説構築を行っていき、最終的な研究成果としてまとめることを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【消耗品費】本研究に関連する国内外の文献(観光行動研究、レジャー行動研究、消費者行動研究等の分野)の購入費用等が必要である。 【旅費】インタビュー調査を補助事業者の所属校の近隣に居住または勤務している人以外に行う場合には、インタビュー実施会場までの移動のための旅費が必要である。また、データの分析について関連分野における他の研究者からの助言を得るために国内外の他大学に出向いたり、各種学会での報告を実施する必要があり、そのための旅費も必要となる。 【謝金】インタビュー対象者に対して、個人情報の取扱に関する説明等を含めて1回あたり3時間の拘束をするため、謝金が必要である。また、長時間にわたるインタビューの録音を効率よくテープ起こしするために、業者に委託する費用も計上している。 【その他】インタビュー調査の実施にあたり、補助事業者の所属校の近隣に居住または勤務している人以外に行う場合には、インタビュー実施会場として外部の会議室を利用することが必要となる。そのための費用を計上している。
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Research Products
(2 results)