2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23614028
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西村 幸子 同志社大学, 商学部, 准教授 (30454482)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 観光行動研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、長年にわたって観光旅行を好んで頻繁に行う人々(いわゆるヘビーリピーター)を対象として、デプスインタビュー(深層面接法)による質的調査を実施し、彼らが継続的に積極的な旅行行動を行う背景やこれまでに影響を受けてきた要因について探索し、仮説構築することを目的としている。その成果によって旅行市場において重要なこのセグメントに対する理解の向上に資するとともに、観光行動研究における知見の体系化と理論構築に寄与すること目指すものである。 「自他共に認めるヘビーリピーター」という基準によって選定された8名の調査対象者に対して、長時間・複数回にわたるデプスインタビューを実施してこれまでの人生における観光旅行について詳細に聞き取るとともに、その内容の分析を進めた。分析においては、「複線径路・等至性モデル」(サトウ2009、安田・サトウ2012)の枠組みを用いた。質的データの分析手法としては、グラウンデッド・セオリー(Glaser and Strauss 1969)(あるいはその派生版であるM-GTA)やKJ法(川喜田1967)などが知られているが、本研究が対象とするような個人が経験した認知や態度の変容が重要な意味を持つデータの場合、時系列で整理し、経験のプロセスを記述することができる「複線径路・等至性モデル」がより適切な手法であることが確認できた。 一方で、研究が進展するにつれて、様々な属性からみて適切と思われるインタビュー対象者を探し出すことが困難となった。したがって、本研究は「理論的飽和」に達したとは言えず、今後も適切なインタビュー対象者を探し出す努力を継続し、これまでに得た知見をあわせて研究成果を公刊することを目指したい。
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