2012 Fiscal Year Research-status Report
歴史公園における観光資源の保全と利用のための最適化モデルの開発に関する研究
Project/Area Number |
23614034
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Research Institution | Parks and Recreation Foundation |
Principal Investigator |
堀江 典子 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 主任研究員 (70455484)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平松 玲治 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 上席主任研究員 (50455482)
森本 千尋 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 開発研究部長 (40455481)
宮部 秀一 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 研究員 (60616837)
半田 真理子 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 研究顧問 (70599240)
青木 明代 一般財団法人公園財団(公園管理運営研究所), その他部局等, 主任研究員 (10638779)
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Keywords | 歴史公園 / 利用最適化 / 観光資源 / オーバーユース / アンダーユース / 保全と利用 / 入園者数 / 運営サービス |
Research Abstract |
本研究は、歴史公園における観光資源の保全と利用を最適化するモデルを示すことを目的としている。文化財や歴史文化的景観など貴重な資源を有する歴史公園は、地域を代表する観光地として多くの利用者の来訪が期待されているが、過度の利用集中による弊害がある一方で、利用低迷による悪影響、利用の季節的偏りによる雇用の不安定化など園内資源の持続可能性にかかわる様々な問題が懸念される。そこで、課題を整理した上で歴史公園において適用可能な利用コントロール等の手法を開発し、資源の利用と保全の均衡を図る公園管理のあり方を示すことによって社会に貢献しようとするものである。 平成24年度においては、前年度に引き続き文献調査及びヒアリングを含む現地調査を実施し、歴史公園の現状と課題の把握に努めたほか、23年度において実施した「歴史公園における管理運営実態調査」の結果分析を進めた。その結果、歴史公園においては歴史資源についての認知向上と理解深化、歴史文化継承、利用促進などの観点からイベント、プログラム、解説案内、情報発信、ボランティア、関係機関との連携など様々な取り組みがなされており、多くの公園が今後もこれらの活動を継続・充実させたいとしているが、人員・体制・予算・文化財保護上の制約・施設設備の不備や老朽化などの問題も多く抱えていることが明らかになった。また、活動数が多く多様であることが利用者数増を促す反面、利用集中問題も引き起こしていることが確認されたが、問題発生を回避した利用促進の可能性も示唆された。 さらに平成24年度においては、混雑期における利用コントロール手法検討のため、飛鳥地方における最大の観光名所であり国営飛鳥歴史公園の中心である石舞台古墳を対象として利用者数調査等を実施してデータ取得を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度においては、前年度の成果を踏まえて、歴史公園における観光資源の保全と利用のための手法を検討することを予定していた。 23年度に実施したアンケート調査の結果分析として、歴史公園における様々な取り組みの実施状況と利用者数及び問題の発生状況との関係を、定量的・定性的に明らかにすることによって、手法開発につなげることを検討し、その成果については関係学会での複数の成果発表と、当研究所の機関紙である『公園管理研究』において報告することができた。 また、具体的な手法の開発に向けては、国営飛鳥歴史公園内の中心的観光地である石舞台古墳を対象として、混雑期の利用者入退場者数及び駐車場入退場車台数の時間推移を、平成24年4月初旬の桜開花期、ゴールデンウィーク、彼岸花まつり期、平成25年3月末の桜開花期と4期にわたり調査し、データを取得することができた。現在、本データを分析することによって、現場において活用可能な手法の検討に着手している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討から、歴史公園における保全と利用のための最適化には、混雑期の利用調整誘導と閑散期の利用促進の二つのアプローチが必要であることが示されている。 このうち、混雑期の利用調整誘導については、日単位の利用調整と時間単位の利用調整が考えられることから、それぞれを想定した手法を検討する。その際、平成24年度に国営飛鳥歴史公園において混雑期(桜開花期、ゴールデンウィーク、彼岸花祭り期)に取得した利用者数入退場者数及び村営駐車場入退場車数の時間データを利用する予定である。 なお、平成25年度は本研究課題の最終年度であることから、広く成果発表に努めるほか、公園管理現場への反映を積極的に図ることとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
桜開花時期の遅れのため平成23年度から繰り越された調査費については、平成24年度内に執行した。 当初、関西方面を想定していた歴史公園現地調査については、国営飛鳥歴史公園における混雑期の利用者数調査や、大阪府立大学で開催された日本造園学会参加に合わせた日程を組むことができたことから、残額を次年度に繰り越すことが可能になった。 次年度においては、研究遂行に必要な書籍及び物品購入に要する費用、現地調査及び学会等参加にかかる旅費、データ整理等の研究補助アルバイトにかかる人件費、成果発表にかかる投稿料等の費用、及び成果を報告書として取りまとめるための印刷費などとして研究費を執行する予定である。
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Research Products
(10 results)