2013 Fiscal Year Research-status Report
安定同位体動態解析(Isotopomics)の基盤構築に向けた分析化学的研究
Project/Area Number |
23615006
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
伊永 隆史 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (30124788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手束 聡子 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (70435759)
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Keywords | 質量分析 / 同位体分析 / トレーサビリティ / 安定同位体比 / 食品産地判別 / 動態解析 / 分析化学 / Isotopomics |
Research Abstract |
研究代表者(伊永隆史)は、平成24年4月1日に公立大学法人首都大学東京大学院理工学研究科教授から私立千葉科学大学危機管理学部教授へ転任したが、安定同位体動態解析やIsotopomics分析化学研究に必須のサーモフィッシャーサイエンティフィック社製DELTA V Advantage型同位体比質量分析装置2台の移転が間に合わなかった。 平成25年度からは、移転を完了した装置2台を使い、手束聡子講師を新たに研究分担者に加えた二人体制で、安定同位体動態解析のIsotopomics分析化学研究のスピードアップと効率化を推進することで、平成24年度研究実施計画の遅れを取り戻し、平成25年度計画の実施責任を果たすことが出来た。 平成25年度研究成果としては、(1)食品脂肪酸のC-H結合におけるD/H交換反応の解明とその食品産地推定への応用可能性の追究研究、(2)松阪牛・飛騨牛の安定度同位体比分析を通じた牛肉の産地推定の可能性追究研究、(3)安定同位体比質量分析法を用いた食品産地判別研究のまとめとコメ・牛肉試料に対する安定同位体比分析プロトコルの提案などについて、多数の食品検体中の炭素、窒素、酸素、水素など低元素の同位体比分析を行い、多数の実験データを収集し解析に供することが出来た。 平成25年度の研究実績としては、Food Chemistry, 138, 1720-1722 (2013)、日本食品工学会誌, 60(3), 138-141 (2013)、RADIOISOTOPES, 62(4), 219-233 (2013)を国内外の有力論文誌上で公表した。また、日本分析化学会第62年会において、表示・起源分析技術懇談会の「安定同位体比トレーサビリティを利用した食品産地推定の質量分析研究」と題する特別講演にも招待された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者(伊永隆史)が、平成24年4月1日に公立大学法人首都大学東京大学院理工学研究科教授から私立千葉科学大学危機管理学部教授へ転任したため、科研費(学術研究助成基金)を千葉科学大学へ移行した。しかし、当該研究の安定同位体動態解析のIsotopomics分析化学研究に必須のサーモフィッシャーサイエンティフィック社製DELTA V Advantage型同位体比質量分析装置2台の千葉科学大学移転が間に合わなかったため、平成24年度は研究目的の達成度がやや遅れていたが、平成25年度にはおおむね順調に進展しているところまで回復出来た。 研究代表者としては、質量分析装置2台の移行に伴い、手束聡子講師を新たに研究分担者に加えた二人体制で、平成25年度の研究実施に臨み、順調に研究成果を上げることが出来た。食品脂肪酸のC-H結合におけるD/H交換反応の解明、松阪牛・飛騨牛の安定度同位体比分析を通じた牛肉の産地推定、安定同位体比質量分析法を用いたコメ・牛肉試料に対する安定同位体比分析プロトコル作成などのとりまとめを行うとともに、多数の実験データを収集しトレーサビリティ解析をすることが出来た。 しかしながら、本研究の実施においては、新任大学での不慣れもあってか、平成25年度中に質量分析装置2台の稼働率が徐々に低下するというアクシデントに見舞われ、苦闘した。、データ整理解析、研究発表、論文発表には十分に時間を取ることができたので、研究進捗率としては95%以上で、おおむね順調と自己評価している。 ただし本研究は、平成26年度に達成度がやや低下する恐れがある。その理由は千葉科学大学の所在する銚子市が太平洋へ突き出した半島状になっているため、温暖湿潤な海洋性気候の影響を受けてしまい、質量分析装置2台が高湿度のため機能低下を来した可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で用いる質量分析装置2台は競争的外部資金で購入されたもので、研究者個人に帰属するため、平成25年度に所有権を首都大学東京から千葉科学大学へ移し、平成25年5月に装置移転を完了した。平成25年度以降は、研究に必要な装置2台を駆使し、平成25年度から着任した手束聡子講師を研究分担者に加えることによって、当該研究のスピードアップと分析効率向上をはかり、科学研究費の責任を果たすことが出来、おおむね順調に推移している。 ただし、銚子市の温暖湿潤な海洋性気候の影響を受け、質量分析装置2台が高湿度のため徐々に機能低下を起こした可能性が考えられ、平成26年度には達成度がやや低下する可能性がある。そのため、平成26年度は質量分析装置メーカーであるサーモフィッシャーサイエンティフィック社の点検整備を受ける必要があり、研究計画当初には想定出来なかった費用負担が発生する可能性も考えられる。その場合には、本研究課題の今後の推進方策にも影響が出てくることが想定されるため、可能な限り自主的に点検整備を行ってきたが、それも限界に来ている。 平成26年度にメーカーによる点検整備を実施したうえで、研究分担者の手束聡子講師とともに、本研究のスピードアップと分析効率向上に万全を尽くし、平成26年度研究実施計画に遅れが生じないよう、研究責任を果たしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者(伊永隆史)が、平成24年4月1日に公立大学法人首都大学東京大学院理工学研究科教授から私立千葉科学大学危機管理学部教授へ転職したことに伴い、平成23年度採択の科研費(学術研究助成基金)を千葉科学大学へ移行した。 その際、安定同位体動態解析とIsotopomics分析化学研究に必要なサーモフィッシャーサイエンティフィック社製DELTA V Advantage型同位体比質量分析装置2台は競争的外部資金による物品のため研究代表者個人に帰属が認められていたにもかかわらず、装置2台の移転が間に合わず、平成24年度は平成23年度までの研究成果のとりまとめ、データ整理と学会発表、論文発表等を中心に実施したので、科学研究費の残額が発生した。平成25年度には研究分担者1名を加えて研究効率を上げたため、24年度残額の半分程度を使用したが、なお残額が一部ある。 現所属大学の設置場所である銚子市は温暖湿潤な海洋性気候のため、その影響を受けて質量分析装置2台が高湿度のため機能低下を起こした可能性が考えられるので、平成26年度にはメーカーであるサーモフィッシャーサイエンティフィック社の点検整備を受ける必要がある。そのため、研究計画当初には想定出来なかった費用負担が発生する可能性もあるので、その場合には、本研究課題の今後の推進方策にも影響が出ないように、平成25年度に一部使用した平成24年度分の残額もすべて利用してメーカーの十分な点検整備を受け、万全な整備状況下で本研究を推進出来るよう、平成26年度の実施計画を立案している。
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Research Products
(6 results)