2014 Fiscal Year Annual Research Report
安定同位体動態解析(Isotopomics)の基盤構築に向けた分析化学的研究
Project/Area Number |
23615006
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Research Institution | Chiba Institute of Science |
Principal Investigator |
伊永 隆史 千葉科学大学, 危機管理学部, 教授 (30124788)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手束 聡子 千葉科学大学, 危機管理学部, 講師 (70435759)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 質量分析 / トレーサビリティ / 農産物 / 食品 / 産地 / 安定同位体 / 同位体比 / 生育環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
農畜水産物や食品を対象にした安定同位体比の起源推測研究では、食品全体を評価するバルク分析がその簡便性から利用されている。一方で、バルク分析では交換性が非常に高いアミノ基などについた水素(交換性水素)の挙動により、特に水素の同位体比が精度良く測定できないといった問題点がしばしば指摘されてきた。 本研究では、交換性水素を含む基を交換性水素を含まない基に変換することで、バルク試料中の水素同位体比を高精度に分析できる可能性を考えるに至った。この手法では交換性水素の値は切り捨てになるが、試料中の交換性水素以外の水素に保存された生育地の情報を正確な同位体比として取り出せることが明らかになった。質量分析精度の向上し評価することで簡便な化学処理による水素安定同位体比(D/H)の高精度なバルク分析手法の確立を目指し、分析が困難である各有機分子の同位体比の測定手法を開発した。 特に、コメの脂肪酸(交換性水素の含有率が少ない)に注目して、これらを抽出したものについて水素同位体比測定を行い、高精度でのデータ獲得が困難なバルクでの水素安定同位体比分析において、交換性水素(-NH3+,-COOH,-OH)を排除することで高精度化を狙うという、今までに例がない新たな視点を持った研究として、バルク分析よりも非常に精度の高いデータの獲得に成功し論文発表を行った。また農畜水産物について、分子レベル同位体分析をおこなった例は少なく、生育環境での安定同位体の動態の解明を狙った研究事例として論文報告を行った。 この研究の質の高さが評価され、学会誌の編集委員会から総合論文として投稿を要請されたので、本研究の最終年度である平成26年度に発表、掲載された。 今後は、安価かつ高精度な最新の超長光路レーザー分光法による同位体比分析法を本法へ応用し、本研究の同位体比質量分析法による測定データと比較評価することが望まれる。
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Research Products
(2 results)