2011 Fiscal Year Research-status Report
光重合性ポリマーを用いる環境および医療分析用高機能マイクロチップ作製技術の開発
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23615008
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
鈴木 茂生 近畿大学, 薬学部, 教授 (00154542)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | マイクロフルイディクス / マイクロチップ電気泳動 / オンライン濃縮 / ポリアクリルアミドゲル / レクチン / 試料選択的濃縮 |
Research Abstract |
マイクロチップ電気泳動分析システムを現場で様々な用途に対応させることを目的として、単純な市販の十字型マイクロチップの流路上に蛍光検出光源としてのアルゴンレーザーを使ってピンポイント光重合を行い、試料中の目的成分の高度選択的濃縮や誘導体化、酵素反応の実現を目指している。本年度は、(1)マイクロチップデザイン、(2)装置の開発、(3)特異的な濃縮技術の開発について検討した。(1)については装置ならびにシステムの設計も完了し、基本的なデザイン設計と汎用化を検討中であり、成果を報告するまでには至っていないが、次年度には成果を公開できると考えている。(3)については、今年度、(1)弱酸性光重合ゲルのin situ合成と弱酸特異的perm-selective濃縮ならびに分離(S. Yamamoto et al., J Sep Sci, 34 (2011) 2879.)、および(2)レクチン固定化ゲルを用いる糖鎖の構造特的な濃縮と分離(S. Yamamoto et al., Analyst, 137 (2012) 2211)という二つの方法について報告した。(1)ではグリコール酸を側鎖として有するポリアクリルアミドゲル層を分岐流路の内部に作成することで、弱酸のみを特異的に捕捉する方法である。10万倍という高濃縮率で弱酸性試料のみを特異的に捕捉できるので、10-13 Mという極めて低濃度のアミノ酸誘導体の分析に適用が可能であった。(2)はレクチンを含むアクリルアミド溶液を十字流路の交差部で光重合させた。レクチンの固定化量が100フェムトモル程度であるために、大幅な濃縮は困難であったが、たとえばシアル酸認識レクチンを用いると、糖鎖混合物よりシアル酸含有糖鎖だけを捕捉、濃縮し、分析することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
。研究計画に述べた内容についてはすべて着手しており、順調に進展している。また、それぞれ数編の論文として国際誌に公表した。現在も問題なく研究は進んでおり、年度内での目標達成は可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロチップのデザインに関しては、既に幾通りかを試し、データの比較評価も行っている。しかし、より正確な評価を行うには、京都大学「次世代低炭素ナノデバイス創製ハブ」の設備を借用して、マイクロチップの再現性などを評価する必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本法を陽イオンや顆粒成分などに応用するために引き続き、様々なタイプのゲルを作成し評価を行う。また、ゲルの作成方法は確立されたので、チップのデザインも来年度には決定したい。したがってゲル基剤、蛍光試薬に加え、マイクロチップ作製に必要な試薬やさらにはチップの作成に必要な設備使用量が新たに必要になる。
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Research Products
(21 results)