2012 Fiscal Year Research-status Report
酸化型・還元型チオール類同時計測法の開発と生体内レドックスバランス評価への適用
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23615009
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉田 秀幸 福岡大学, 薬学部, 准教授 (20301690)
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Keywords | レドックス / 分析化学 / α-リポ酸 / クロマトグラフィー / エキシマー蛍光 / 蛍光誘導体化 |
Research Abstract |
本研究は,α-リポ酸の特異的分析法を基盤とした,生体内の酸化還元状態(レドックスバランス)を評価するための新規計測技術の確立を目指すものである。生体内において酸化型・還元型の両形態で存在するα-リポ酸を,それぞれの形態のままで一斉に計測する分析法を構築し,生体計測を実施することで,生体内レドックスバランスの簡便・高感度・高選択的な分析化学的な評価が可能となるだけでなく,食品栄養学や環境科学,医薬品開発等,幅広い分野への展開も期待される。研究二年目である本年度は,前年度に構築した分析システムを生体試料計測に適用するため,以下の項目について順次実施した。 (1)オンライン還元カラムの改良と性能評価:前年度に十分な検討ができなかったオンライン還元ユニットの改良・最適化に取り組んだ。いくつかのHPLCカラムと様々な還元剤との組み合わせを検討したところ,迅速・強力な還元作用を有し,かつ安定性に優れた還元カラムを構築することができた。 (2)標準添加生体試料を対象としたα-リポ酸分析:酸化型及び還元型のα-リポ酸を段階的に添加した生体試料(健常人由来の血液及び尿)の分析を通して,実試料計測のための前処理法及び分析システムの最適化を施した。方法論の高い選択性と感度のため,複雑な前処理を必要としない簡便な生体試料計測が可能となった。 (3)生体試料中α-リポ酸分析への適用:レドックスバランス評価のため,(2)で最適化した実試料計測法を健常人由来試料の測定に適用した。α-リポ酸含有サプリメントの服用により,血液や尿中のリポ酸濃度の上昇が確認され,酸化型・還元型リポ酸の血中濃度推移を追跡することも可能だった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究項目として,前記「研究実績の概要」に記載した(1)オンライン還元カラムの改良と性能評価,(2)標準添加生体試料を対象としたα-リポ酸分析,(3)生体試料中α-リポ酸分析への適用,を計画した。連携研究者からの協力もあり,それら三項目のいずれもを極めて良好なペースで進めることができた。しかしながら,参加・発表を予定していた国際学会(中華人民共和国杭州,平成24年10月)の開催が,社会的情勢の変化を受けてキャンセルとなり,研究成果について海外の研究者と十分な議論を交わすことができなったのはマイナス評価である。 良好な状況とマイナスな一面が混在しているが,総じておおむね順調に進んでいるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の最終年度は,研究初年度,二年度目と同様,連携研究者の協力の下,これまでの研究成果に基づいて,様々な実試料を対象とした検討を行う。具体的には,以下の三項目を段階的に実施する。 (1)実試料中チオール化合物の分析に関する研究:二年度目までにバリデートした実試料分析法を用いて,生体試料(ヒト尿,血液等)だけでなく,食品サンプル等に存在するα-リポ酸関連物質計測への適用実験を行う。いずれの試料に対しても,可能な限り簡便な前処理法とすることで,方法論の有用性・実用性を検証する。 (2)既知抗酸化化合物(酸化化合物)共存下でのレドックスバランス評価:既知の抗酸化(酸化)化合物の共存下における各種実試料中α-リポ酸及び関連化合物の酸化還元状態を精査解析する。本検討の結果を従来法と比較することで,リポ酸計測に基づくレドックスバランス評価システムの有効性を検証する。 (3)新規抗酸化化合物探索への適用:(2)で検証した計測システムを各種食品・飲料・嗜好品等に適用し,抗酸化能を有する新しい有効成分を探索する。 [連携研究者]轟木堅一郎(静岡県立大学・薬学部・准教授):抗酸化能の評価
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前項で上述したように,参加・発表を予定していた国際学会が,社会的情勢の変化を受けて開催されなかったために,成果発表用の海外旅費を執行できなかった。また,それに伴い,海外の研究者と十分な意見交換をすることができずに,貴重な試料を入手する機会を失った。これらに起因する研究の停滞を含め,社会情勢の変化が今回の繰越金発生の主要因である。 そこで,繰越金は本来から計上していた研究費に上積みする形で,消耗品(試薬,HPLCパーツやプラスチック製品等)の購入や論文投稿のために主に利用する。更に国内の関連学会での調査研究及び成果報告のための旅費,並びに連携研究者との打合せに必要な旅費等として支出する。
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Research Products
(9 results)