2012 Fiscal Year Research-status Report
植物性食品中の2-アルキルシクロブタノンの動態解明と照射検知技術への応用
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23615010
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
等々力 節子 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品安全研究領域, 上席研究員 (30353973)
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Keywords | 食品照射 |
Research Abstract |
本研究では、脂肪酸(脂肪)の放射線分解物である2-アルキルシクロブタノン類について、2次代謝産物の多い植物性食品中での高感度分析法を開発し、照射後の消長を明らかにする。これにより、照射食品中の2-アルキルシクロブタノンに由来する健康影響(リスク)評価の基本となる、暴露量評価の基礎データの取得を目指す。また、同時に低線量(検疫処理線量)を照射した農産物の検知技術への応用の可能性を探ることを目的とする。 24年度は、大豆、ナツメグ、カシューナッツについて、ガンマ線照射を行った際の、2-decylcyclobutanone,2-dodecylcyclobutanone, 2-tetradecylcyclobutanone, 2-tetradecenylcyclobutanoneを定量し、これらの化合物が線量に対して直線的に増加すること、生成効率としては、1 kGyの照射により、前駆体脂肪酸1 mmoleから生成する2-ACBsの量は、1.1 nmole ~ 3.8 nmoleと、既報の動物性食品類と同レベルであることを確認した。 また、照射したナツメグを室温貯蔵した際の2-decylcyclobutanoneおよび2-dodecylcyclobutanoneの含量を30週間まで追跡したところ、その含量が照射直後と比較してそれぞれ、65%程度に減少することを確認した。一方、オリブ油に2-dodecylcyclobutanoneを溶解して好気条件で放置した場合にも減少が見られ、この場合には2-dodecylcyclobutanone以外の新規なピークがGC分析で観測された。 サロゲートを用いた分析法の改良については、適切な標準試薬が入手できず断念した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サロゲートの利用やモデル系での2-ドデシルシクロブタノンの分解物の同定については、予定通り進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
植物油などを高温加熱した際の、2-ACBsの生成の有無についても再検討する。 分解物の生成についても構造決定等を試み、実際の食品中での存在についても検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究課題の推進のため、次年度の研究費は交付申請時の計画通り使用する。なお、次年度使用額260,608円は、研究費を効率的に使用して発生した残額である、次年度に請求する研究費と合わせて研究計画遂行のため使用する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Identification of 2-alkylcyclobutanones in nutmeg (Myristica fragrans)2012
Author(s)
Chen,S., Tsutsumi,T. Takatsuki,S. Matsuda,R. Kameya, H., Nakajima,M., Furuta, M., Todoriki,S
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Journal Title
Food Chemistry
Volume: 134
Pages: 359-365
DOI
Peer Reviewed
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