2012 Fiscal Year Research-status Report
科学鑑定に資する毛髪中薬毒物の迅速・高感度分析法の開発
Project/Area Number |
23615011
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
宮口 一 科学警察研究所, 附属鑑定所, 主任研究官 (10370884)
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Keywords | 毛髪分析 / マイクロ粉砕抽出法 / ゾルピデム / 液体クロマトグラフィー/質量分析 |
Research Abstract |
前年度に見出した、マイクロ粉砕抽出法を応用した新たな毛髪中薬物抽出法について、代表的な睡眠導入剤であり、犯罪に利用されることが多いゾルピデムの分析に応用するための種々の検討およびバリデーション試験を行った。装置には液体クロマトグラフ-三連四重極質量分析計を用い、エレクトロスプレーイオン化法(SRMモード)により検出した。また、ZOL-d6を内部標準物質とした内部標準検量線により定量を行った。 ゾルピデム添加毛髪の分析結果から、検出限界は1.0 pg/mgと見積もられた。これは、ゾルピデム酒石酸塩10mg錠単回投与後の毛髪中ゾルピデム濃度(1.8~9.8 pg/mg)をカバーするものであった。1.0 pg/mgにおける正確さは日内19.9%、日間8.8%、精密さ(相対標準偏差)が日内2.6%、日間8.1%であり(n=5)、一般的な定量下限の基準に適合した。100 pg/mgおよび10,000 pg/mgにおいては、日内・日間共に、正確さは10%以内、精密さは5%以内に収まった。 所属先の倫理審査委員会の承認を得て、ゾルピデムを服用している不眠症患者の毛髪を分析した結果、毎日服用している患者Aの黒髪のゾルピデム濃度は11,400 pg/mgであった。また、毎日服用している患者Bの黒髪は18,300 pg/mg、白髪は119 pg/mgであり、黒髪と白髪で濃度が100倍以上異なることから、ゾルピデムがメラニンに依存して毛髪に取り込まれることが確認された。週1~2回程度服用している患者Cのゾルピデム濃度は78.9 pg/mgであった。 本法は、これまで報告されているどの毛髪中ゾルピデム分析法よりも迅速かつ幅広い定量範囲を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度から今年度にかけて行った、毛髪前処理法の比較・評価および毛髪中ゾルピデムの分析に関する論文を執筆・投稿し、Journal of Chromatography A誌に掲載された。 なお、今回は予定していたオービトラップ型質量分析計ではなく、三連四重極型質量分析計により分析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、分析対象の催眠薬・抗うつ薬を大幅に増やし、新たに導入された液体クロマトグラフ-オービトラップ型質量分析計を用いた分析法を確立する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
7月に千葉で行われる日本法中毒学会および10月にマレーシアで行われる法医学分野の国際学会に出席し、上記の成果について発表する。その他、研究に必要な備品及び消耗品の購入や、論文執筆時の英文校閲費用などに充てる予定である。
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Research Products
(4 results)