2012 Fiscal Year Research-status Report
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23615013
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
丹羽 一樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (30443211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 太一郎 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60423901)
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Keywords | 分光放射測定 / LED / 積分球 / 全放射束 / 微弱光 / レポータージーンアッセイ / 毒性試験 / 生物発光 |
Research Abstract |
本年度は前年度に整備を完了させた極微弱LED用積分球式分光計測装置を用いて、分光全光子束の測定と不確かさの評価を行い、2π幾何条件の極微弱LED光源の実測定を実施した。 測定装置の分光感度校正は500W分光放射束標準電球を使用、光源の2π幾何条件補正係数、CCD検出器感度の直線性、測定の繰返し再現性などの評価を行い、測定の不確かさを±18%(k=2)と見積り、極微弱LED光源の分光全光子束の測定が可能となった。特に重要なCCD感度直線性評価に関しては、標準電球の積分球入射窓前に設置する可変アパーチャの面積を精密に評価し、積分球に入射させる光パワーレベルを変化させ、それに併せて露光時間も変化させ、種々設定における測定データを比較することで、実際の測定条件においてCCD感度に顕著な非直線性が認められないことを確認した。 プレート型極微弱LED光源については共同研究者である中谷氏が開発しており、試作品が完成したが、発光強度が弱いために充分なシグナルが得られなかった。そこで本年度はチューブタイプの光源と、ATTO社より発売された微弱LEDプレート光源であるTRIANTを対象として、分光全光子束および分光全放射束を測定した。 また、本測定の妥当性確認と活用促進を目的として、ホタル生物発光反応の量子収率測定実験を行った。共同研究者である加藤氏の協力の下、ゲンジボタルルシフェラーゼの活性中心のミュータントシリーズを中心に、発光反応特性と量子収率の関連性などの知見を得ることが出来た。更に汎用型発光分光測定装置(スペクトロメータ)の波長感度校正にLED光源あるいは発光反応溶液を用いるための実証に必要なデータ収集まで実施した。 以上の研究成果に関して、国際生物発光化学発光学会(6月、カナダ・ゲルフ市)等での成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分光全光子束の測定システムの構築とその実証および活用を目的として、本年度までに測定システムの構築と絶対感度校正の実施を完了させる予定であったが、実際に測定システムの構築を完了させ、顕著な不確かさ要因の評価を行い、分光放射照度標準電球を用いた校正まで実施することに成功した。また各種サンプルの分光全光子束データの測定を開始するという計画であったが、プレート型LED、チューブ型LED、生物発光溶液などの測定を行うことが出来、およそ当初の計画通りに進捗している。 測定装置の活用という観点から、特にホタル生物発光量子収率の測定を行っているが、これについては酵素ルシフェラーゼのミュータントシリーズの解析を行うことで、酵素による発光反応の波長特性と量子収率の関連性に関する知見を得ることができ、この成果に関して学会などにおける発表にまで至っており、予想以上の成果と考えている。ただし、測定の不確かさ評価に関連して、シミュレーション計算による妥当性確認を計画していたが、実験的な評価によってこれに代えることが可能であったことなどから、実施するには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である25年度は、計測システムの妥当性の確認を行いつつ、更なる精度向上のためのデータ処理方法の検討を行う。また分光全光子束絶対値測定の学術的意義を深めるため、各社で市販が開始されている各種の参照用極微弱LED光源の分光全光子束の測定や、ホタル生物発光反応の分光全光子束測定データの収集を行う。また、研究成果のとりまとめと普及のための発表、今後のための情報収集なども行う。 計測システムの妥当性確認は、本年度までで絶対値測定用には使用しなかった検出器(フォトダイオード、光電子増倍管など)を用いた比較測定、また異なる積分球などを用いた光学系の影響評価など、不確かさ要因の更なる洗い出しを予定している。これらのデータに加え、本年度までに明らかにしている不確かさ要因を元に、測定データの補正を行うことで、より低い不確かさでの測定システムの実現をめざす。 全光子束の測定データの収集に関しては、複数の極微弱LEDプレートについて、異なる検出器を用いた評価を試みる。また、ホタル発光反応に関して、本年度はルシフェラーゼのミュータントを用いたが、25年度は基質アナログを用いた実験を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
25年度は、測定システム評価に必要なフォトダイオード検出器などの光学デバイス、発光反応試薬などの消耗品購入を予定している。 研究発表に関して、国際学会(バイオトランス2013,7月,英国マンチェスター)の参加費および旅費、論文執筆、投稿に要する諸費用の発生などを想定している。
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Research Products
(4 results)