2011 Fiscal Year Annual Research Report
精子形成過程におけるほ乳類ポリコーム群蛋白質のエピジェネティック制御機構の解明
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23616008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高田 幸 独立行政法人理化学研究所, 免疫器官形成研究グループ, 研究員 (40392013)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ポリコーム群 / Ring1A1B / 減数分裂 / テロメア / 核膜結合 |
Research Abstract |
精母細胞において、ポリコーム群タンパク質Ring1Bは、セントロメアやXY体のようなヘテロクロマチンだけでなく、ユークロマチン上へ局在する事が分かっている。Ring1A1B遺伝子欠損マウスの精母細胞で対合障害が起こっていることから、クロマチン修飾因子であるポリコーム群タンパク質が減数分裂期のどのステージに関与しているのか詳細に調べるため、遺伝子欠損マウスの表現型を解析した。まず、Ring1A1B遺伝子欠損マウスの精巣はコントロールに比べて非常に小さく、減数分裂期前期であるザイゴテン期で分化が停止している事が明らかとなった。遺伝的相同組み換えの際の交差の起こる場所(ホットスポット)がエピジェネティックな制御(ピストン修飾)を受けている事から、当初はホットスポットのヒストンメチル化修飾に影響があるのではないかと考えていたが、それは正常であった。しかし、核内全体のピストンH2Aのユビキチン化が消失していた。また、やはり核全体に局在しているはずのトリメチル化ピストンH3K27がペリセントロメリックヘテロクロマチン(PCH)に集積している事が分かった。その後の詳細な解析から、染色体の末端であるテロメアが核膜に結合できておらず、その細胞での核膜構造タンパク質であるラミンBの局在に異常が観察された。 減数分裂期の一時期に、テロメアが核膜結合し、クラスターを形成することが多くの生物種で観察されている。この現象は、相同染色体同士の対合に対して重要な役割を果たしており、その後の減数分裂期の正常な進行に必須であると考えられている。ピストンH2Aユビキチン化、ピストンH3K27トリメチル化の局在がテロメアの核膜への結合へ必要なのか、それともRinglBがラミンBの重合に関与しているのか、現段階では結論はまだ出ていないが、今後の解析に期待したい。
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