2012 Fiscal Year Research-status Report
炎症性腸疾患患者のエネルギー代謝に関する臨床的研究
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23617008
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 准教授 (40242979)
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Keywords | クローン病 / 潰瘍性大腸炎 / エネルギー代謝 |
Research Abstract |
方法内容:2011年6月から2012年3月までに、抗TNFα抗体による寛解導入療法を施行した活動期クローン病12例、を対象とした。病型は、小腸型3名、小腸大腸型8名であった。栄養療法は、TPN7例(成分栄養療法に移行6例)、成分栄養療法4例(PPNを全例に併用)であった。寛解導入療法前後で、血清Alb、CRP値を測定し、CDAIを算出した。血清の炎症性サイトカインIL-6、TNF-αはELISA法で測定した。また、ミナト医科学エアロモニターAE300Sを用いて、安静時消費エネルギー(REE)、呼吸商(RQ)、糖質酸化量、脂質酸化量を経時的に測定した。 現状の結果報告:血清CRP値とCDAIは治療にともない有意に低下した。Albは有意に上昇した。BMIはほぼ横ばいであった。血清IL-6は有意に低下したが、TNF-αは一定の傾向を示さず、有意な変化は認めなかった。REEの変化には一定の傾向は認めなかったが、RQは有意に上昇した。その結果、脂質酸化量は有意に低下し、糖質酸化量は有意に上昇した。すでにJ Clin Biochem Nutr誌にアクセプトされ、掲載予定である。 今後の課題:一方、重症潰瘍性大腸炎8例(男性6例、女性2例)についても、クローン病と同様の検討をおこなった。病型は全大腸炎型5例、左側大腸炎型3例である。栄養療法はTPN5例、PPN3例である。治療法は血球成分除去療法、シクロスポリン・タクロリムスの免疫抑制剤などであった。本症では、寛解導入療法により活動指数が低下するとともに、REE/BWが低下した。活動指数とREE/BWには相関関係が見られた。エネルギー消費量は活動期から寛解になるにつれて低下し、エネルギー必要量は活動期34kcal/day、寛解期30kcal/dayと算出された。今後、症例数を増やして解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
活動期クローン病の寛解導入療法に伴うエネルギー代謝の変化を炎症性サイトカインとの関連については、すでにJ Clin Biochem Nutr誌にアクセプトされ、掲載予定である。 一方、潰瘍性大腸炎については十分な症例数がエントリーされていないが、途中経過ではクローン病とは全く異なる臨床成績が得られており、今後、症例数を増やして消費エネルギーの変化と炎症性サイトカインとの関連について研究を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、潰瘍性大腸炎の活動性とエネルギー代謝との関連について、さらに症例数を増やして検討していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
サイトカイン測定に関する経費、J Clin Biochem Nutrの掲載や別刷りに関する費用として使用する予定である。
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