2011 Fiscal Year Research-status Report
栄養感知システムmTORシグナルの分子基盤の解明と分子栄養学への展開
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23617012
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 賢太 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (70397826)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横野 浩一 神戸大学, その他部局等, 理事 (50144580)
安田 尚史 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 特命講師 (50403233)
明嵜 太一 神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (80467662)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | mTOR / 分子栄養 / 代謝 |
Research Abstract |
mTORシグナルの栄養代謝における役割を生体で解析するため、mTORC1シグナル特異的阻害剤であるラパマイシンを腹腔内投与したC57BL/6マウスモデルを用いて解析を行った。栄養代謝パラメーターとして、体重、血糖、血中ケトン、遊離脂肪酸などを測定し、さらに肝臓や脂肪重量の変化なども比較した。その結果、C57BL/6マウスにラパマイシンを投与すると、非投与群に比べて体重、血糖、遊離脂肪酸や脂肪重量などには有意な差は認めなかったが、絶食後の血中ケトン値がラパマイシン投与群で有意に高値を示していた。一方、腸管粘膜の成長・維持に、経口摂取されたアミノ酸が重要であることが臨床的に知られていることに着目し、mTORシグナルの腸管粘膜維持機構についても同時に解析を行った。絶食の上、ブドウ糖溶液のみ投与したマウスとブドウ糖にアミノ酸を加えた溶液を投与したマウスを作成し、処理後に小腸を端離し、腸管粘膜の厚さおよび面積を定量的に測定した。更にmTORC1シグナル活性化マーカーとして、リボゾームS6蛋白リン酸化特異抗体を用い腸管粘膜を免疫染色すると同時に、ウエスタンブロットにてS6蛋白のリン酸化を半定量的に比較した。その結果、ブドウ糖単独投与に比べてアミノ酸混合液経口投与群において、有意に腸管粘膜の萎縮が抑制され、同時に腸管粘膜のmTORC1シグナルが有意に活性化されていた。しかしラパマイシンの腹腔内投与にて、腸管におけるアミノ酸によるmTORC1の活性化は強く抑制され、同時に腸管粘膜の成長・維持も強く阻害されていた。以上のラパマイシンを用いたマウスモデルの解析から、mTORC1シグナルは、飢餓時におけるケトン体産生に対して抑制的に働いている一方、腸管においてはアミノ酸による粘膜維持に必須の役割を担っていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
mTORCシグナルの栄養代謝における役割について、マウスモデルを用いてほぼ順調に解析が進んでいるが、分子メカニズムの解明について、候補蛋白の発現ベクターの作成などが当初の予定よりやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスモデルを用いた解析においては、引き続きKK-AyマウスやmTORノックアウトマウスを用いてさらに発展させる予定である。分子メカニズムの解析に関しては、候補分子を絞り込み、発現ベクターやノックダウン系を作成し、解析を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究計画に従って引き続き研究を遂行していく予定であり、次年度使用金額(B-A)が10,000円生じたが、次年度の物品費に組み込み、次年度の研究費として合わせて使用していく予定である。
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Research Products
(4 results)