2012 Fiscal Year Research-status Report
植物乳酸球菌LP28による体内脂肪蓄積抑制の分子機構解明とヒト臨床試験による検証
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23617013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東川 史子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 特任准教授 (70346534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 政則 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30106801)
野田 正文 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 特任講師 (40457289)
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Keywords | 抗肥満作用 / 植物乳酸菌 / 臨床試験 |
Research Abstract |
肥満は生活習慣病の重要なリスク因子であり、生活習慣病の予防のためには肥満の解消は必須である。本研究は、マウスにおいて抗肥満効果が確認された植物乳酸菌Pediococcus pentosaceus LP28(LP28)の抗肥満作用メカニズムの解明、および、ヒトでの効果の検証を目的としている。本年度は、ヒト臨床試験を中心に研究を進めた。 計画当初は、LP28入りの野菜ジュースを試験食とすることを想定していたが、十分量の乳酸菌を摂取するために、本臨床試験ではLP28菌体粉末を用いることとした。そこで、既に確立した乳酸菌高密度培養法および菌体粉末製造技術により製造したLP28生菌粉末が、冷凍下で長期間、生菌として保存可能であることを確認し、試験食および対照食を製造(企業に依頼)した。続いて、被験者募集を行ったところ、151人の応募があり、スクリーニング検査の結果、被験者条件(20~70歳までの健康な男女で、BMIが25以上30未満であること等)に適合した62人の参加で試験を開始した。臨床試験は、二重盲検法による無作為化対照比較試験とし、参加者は3グループ(LP28生菌、LP28死菌、あるいはプラセボ)のいずれかに割り付けられた。12週間の摂取期間中、被験者には、定期的に身体測定、血液検査、および、尿検査を実施し、LP28の効果について検証する。24年度末までに4回の検査日程のうち3回まで終了したが、二重盲検法で実施しているため、割り付けがまだオープンされておらず、LP28の抗肥満効果の有無については判明していない。25年度の最終検査終了後、統計解析を行い、LP28のヒトでの効果について検証する予定である。 LP28の抗肥満作用メカニズムの解明についての基礎実験については、引き続き、脂肪肝化したマウス肝由来のHepa1-6細胞を用い、LP28添加後の様々な遺伝子発現変動を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基礎研究は各年度の予定の順序を変更し、実施している。今年度はヒト臨床試験の準備が完了し、予定通り臨床試験をスタートさせることができ、現在まで滞りなく進行していることから、おおむね順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、LP28のヒト試験が終了するので、解析を行い、肥満予防・改善を目的とした健康補助食品創出への可能性を探る。また、引き続き、細胞や動物を用いた実験により、LP28の関与成分の特定や作用メカニズムの解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費に、臨床試験の費用を組み入れていたが、臨床試験を平成24年度と25年度にまたいで実施することとなったため、25年度に発生する費用分を次年度使用分とした。 この次年度使用額と25年度の研究費を併せて、継続中のヒト臨床試験や細胞株による実験の他、動物実験などに使用する。ヒト臨床試験では、謝金や検査費用、および、通信費などを想定し、基礎研究では、実験に関連する分子生物学用試薬費や細胞培養試薬費、動物実験に関連する消耗品購入費などを予定している。
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