2013 Fiscal Year Annual Research Report
植物乳酸球菌LP28による体内脂肪蓄積抑制の分子機構解明とヒト臨床試験による検証
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23617013
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
東川 史子 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 特任准教授 (70346534)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 政則 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30106801)
野田 正文 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 特任講師 (40457289)
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Keywords | 抗肥満作用 / 植物乳酸菌 / 臨床試験 |
Research Abstract |
糖尿病や脂質異常症、高血圧などの生活習慣病の中心に肥満があると考えられ、肥満解消は生活習慣病の予防につながると期待される。本研究は、肥満誘発マウスにおいて抗肥満作用を示した植物乳酸菌Pediococcus pentosaceus LP28(LP28)について、その作用のメカニズムの解明、およびヒトにおける効果の検証を目的として実施した。 マウス肝由来の細胞株を用いたin vitro実験では、LP28添加により細胞内への脂肪の蓄積が抑制され、その際、不飽和脂肪酸の合成に関与するSCD1の発現が低下していることを確認した。また最終年度に実施した肥満誘発マウスを用いた動物実験では、LP28投与マウスの白色脂肪におけるacc1(脂肪酸合成に関与)のmRNAの発現量がコントロール群と比較して有意に低下していること、さらに、肥満との関連が報告されているtlr5の腸粘膜細胞における発現量がLP28投与によって特に変化しないこと等を見出した。 また、本研究の要であるヒト試験(二重盲検法による無作為化並行群間比較試験)を平成24年度後半~25年度に実施した。20~70歳でBMI 25~30 kg/m2の男女62名を対象とし、LP28生菌、LP28死菌、あるいはプラセボのいずれかを12週間摂取させた。その結果、BMI、体脂肪率、腹囲、LDLコレステロール、およびLDL/HDL比が、プラセボ群と比較してLP28死菌摂取群で有意に低下していた。一方、LP28生菌摂取群においては、体重や体脂肪量等に低下傾向が認められたものの、その程度はLP28死菌群には及ばなかった。以上のように植物乳酸菌LP28がヒトにおいても抗肥満作用を有することが示されたことから、LP28は、生活習慣病のリスク因子である肥満を抑制することによって、メタボリックシンドロームを予防・改善する一助となり得ることが示唆された。
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