2011 Fiscal Year Research-status Report
骨と血管の臓器相関による異所性石灰化の分子基盤解明とCKD栄養療法の開発
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23617019
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 美紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (50314852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 元祥 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20283913)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 高リン血症 / 異所性石灰化 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)の末期に導入される血液透析患者は、年々増加の一途をたどり、2010年には30万人を数えている。血液透析患者の死因の約40%は、高リン血症がもたらす心血管疾患によることが明らかとなっており、血液透析導入時においてリンの摂取制限が設けられている。しかしながら、血液透析時には半数の患者で、既に血管の異所性石灰化の進行がみられ、早い段階でのリンの栄養管理が重要となってきた。本研究では、1)骨と血管の臓器相関から見た異所性石灰化の分子基盤を明らかにし、2)これら分子基盤に基づいたCKDのリン栄養療法の開発を目指している。 破骨細胞の分化前後でのマイクロアレイを行い、分化前後で発現の上昇したsolute carrier protein(SLC)ファミリーの中から候補を探索している。これらの候補分子を破骨細胞に過剰発現させ、機能を見ることで評価を行っている。また、破骨細胞におけるリン調節ホルモンとの関連を解析している。 さらに異所性石灰化の原因となり高リン血症のメカニズムの解明には、生体におけるリン調節の最大の器官である腎臓における解明も重要となる。そのため、腎でリンの再吸収を行い、ヒト低リン血症性くる病の原因遺伝子でもあるナトリウム依存性リン酸トランスポーターNaPi-IIcに注目し、その機能とHHRH発症メカニズムについて検討した。これら、様々な臓器相関からみた異所性石灰化を今後明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
機器の購入や必要試料の入手に手間取り、さらに人的確保が難しかったために、やや遅れている。平成24年度からは、それらを確保ずみのため、遅れを取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨から血管石灰化のメカニズムを推測するために、破骨細胞並びに血管平滑筋細胞を用いた解析ならびに、リン調節ホルモンとの関連を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
機器は既存のものを使用し、主に、消耗品費と、情報収集、成果発表のための旅費での使用を考えている。特に、細胞培養関連、リン調節ホルモンの購入、外部委託による解析に研究費を宛てる予定である。 平成23年度は当初予算より使用額が少なく、448,508円を次年度に繰り越すこととした。これは主に、低温恒温器(約40万)の購入に充てる予定でいたが、共同研究者からの機器貸与により購入必要性がなくなったためである。また、次年度は、細胞モデルを用いた研究を中心に考えているため、細胞培養用の消耗品に経費がかかることが予想されている。次年度に請求する予算に加えて、繰り越し分をこれらの購入にあて、研究推進に有効に活用する予定である。
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Research Products
(7 results)