2012 Fiscal Year Research-status Report
骨と血管の臓器相関による異所性石灰化の分子基盤解明とCKD栄養療法の開発
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23617019
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
伊藤 美紀子 兵庫県立大学, 環境人間学部, 准教授 (50314852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂上 元祥 兵庫県立大学, 環境人間学部, 教授 (20283913)
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Keywords | 異所性石灰化 / リン代謝 / 破骨細胞 |
Research Abstract |
慢性腎臓病(CKD)の末期に導入される血液透析患者は、年々増加の一途をたどり、2010年には30万人を数えている。血液透析患者の死因の約40%は、高リン血症がもたらす心血管疾患によることが明らかとなっており、血液透析導入時においてリンの摂取制限が設けられている。しかしながら、血液透析時には半数の患者で、既に血管の異所性石灰化の進行がみられ、早い段階でのリンの栄養管理が重要となってきた。本研究では、1)骨と血管の臓器相関から見た異所性石灰化の分子基盤を明らかにし、2)これら分子基盤に基づいたCKDのリン栄養療法の開発を目指している。 破骨細胞の分化前後でのマイクロアレイを行い、分化前後で発現の上昇したsolute carrier protein(SLC)ファミリー、また、膜たんぱく質として機能しうるたんぱく質を候補として探索している。これらの候補分子を破骨細胞に過剰発現させ、機能を見ることで評価を行っている。また、破骨細胞におけるリン調節ホルモン(FGF23)、またその受容体たんぱく質Klothoとの関連を解析した。さらに異所性石灰化の原因となり高リン血症のメカニズムの解明には、生体におけるリン調節の最大の器官である腎臓における解明も重要となる。そのため、腎でリンの再吸収を行い、ヒト低リン血症性くる病の原因遺伝子でもあるナトリウム依存性リン酸トランスポーターNaPi-IIcに注目し研究を進めている。これら、様々な臓器相関からみた異所性石灰化を今後明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展しているが、まだまだ明らかにするべき事は多い。次年度は最終年度であることから、より一層の進捗を行いたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨から血管石灰化のメカニズムを推測するために、破骨細胞並びに血管平滑筋細胞を用いた解析ならびに、リン調節ホルモンとの関連を明らかにしていく。また、腎で重要な機能を果たしているリン輸送体NaPi-IIa,NaPi-IIcと破骨細胞におけるリン輸送体を比較検討するために、それぞれのKOマウスを用いて検討を行う。 最終年度のため、本研究課題をまとめられるよう、多方面にわたって研究を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度の使用状況は、ほぼ予定通りであった。繰り越し分は1年目に購入予定だった機器を共同研究者からの貸与により購入不要となった分の金額がそのまま繰り返されていることになる。最終年度は機器は既存のものを使用し、繰り越し分も含めて主に、消耗品費と、情報収集、成果発表のための旅費での使用を考えている。特に、細胞培養関連、動物実験、リン調節ホルモンの購入、外部委託による解析に研究費に宛てる予定である。 次年度は、細胞モデルまた、動物を用いた研究を中心に考えているため、消耗品ならびに維持費に経費がかかることが予想されている。次年度に請求する予算に加えて、繰り越し分をこれらの購入にあて、研究推進に有効に活用する予定である。
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Research Products
(10 results)