2013 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子多型に基づくテーラーメイド栄養指導による健康づくり支援効果の検討
Project/Area Number |
23617026
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
福島 真実 淑徳大学, 看護栄養学部, 講師 (30286885)
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Keywords | 葉酸 / ホモシステイン / 遺伝子多型 / テーラーメイド栄養指導 / 葉酸摂取量 / 健康づくり |
Research Abstract |
葉酸代謝関連酵素の1つであるメチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(MTHFR)の遺伝子多型C677Tは,動脈硬化のリスク遺伝子であり高ホモシステイン血症をまねき,心血管疾患や認知症などの発症リスクを高める。我々は,埼玉県坂戸市と協同で「さかど葉酸プロジェクト」において,遺伝子多型別の個別化(テーラーメイド)栄養指導を実施し,栄養指標改善効果に有効であることを報告した。そこで約800人のフォローアップ調査を実施し,遺伝子型告知の生活習慣変容のモチベーションに対する影響や心理的な変化,健康づくりにおけるテーラーメイド栄養指導の効果を多角的に検討した。 効果の継続性については,葉酸摂取量,血清葉酸濃度および血清ホモシステイン濃度の変動から, TT型に対する遺伝子告知効果は他の遺伝子型よりも継続性があり,更に繰り返しの指導が有用であることが示された。血清ホモシステイン濃度の変動要因には,栄養指導前の濃度,血清葉酸濃度の変動,性別が関連していることがわかった。 遺伝子型告知後の意識や食生活改善などについては,アンケート調査(735名対象,回収率68.8%)により検討した。緑色野菜の摂取をいつも意識して食べている割合は,CC型69%,CT型63%に比べて,TT型では81%と高く,意識と実行性が高いことが示された(p=0.009)。遺伝子型告知は「知らないほうがよかった」としたTT型の4%を除く全員が「知ってよかった」と回答した。告知後の気持ちに「変化あった」のはTT型で75%と高く(CC型55%,CT型48%, p<0.001),そのうち「前向きになった」65%に対して「不安を感じる」は30%であった。 これらの結果から,遺伝子型告知は,特にリスクの高い遺伝子型に対して生活習慣変容に対するモチベーションを高めることが示唆された。一方で,告知に対する不安感をもつ場合への対応が課題といえる。
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