2012 Fiscal Year Research-status Report
栄養と食による肥満細胞活性化制御の解析:「抗炎症食」をめざして
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23617028
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
増子 佳世 相模女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (80288208)
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Keywords | 肥満細胞 / 栄養 / ヒスタミン / グルタミン |
Research Abstract |
肥満細胞の活性化機構に栄養因子が及ぼす影響について、P815培養系を用い解析した。まず、抗炎症作用および創傷治癒促進作用を有することが報告され、臨床的にいわゆる「免疫栄養」において用いられている機能アミノ酸に着目し、グルタミンの添加条件を変化させてP815からのヒスタミン分泌を定量した。 具体的には、RPMI1640培地でP815細胞を培養し、継代と同時に培地中のグルタミン濃度を0~1,000mg/dLまで段階的に変化させ、一定期間培養後に培養上清中のヒスタミン濃度をELISAを用いて測定した。また一部細胞には既報に基づきリコンビナントIL-6を用いた試験管内刺激による肥満細胞活性化も行なった。この結果、1)肥満細胞の培養条件におけるグルタミン濃度の高低は肥満細胞からのヒスタミン基礎分泌を変化させる、2)IL-6刺激による非IgE依存活性化条件においては、培養液中のグルタミン濃度が肥満細胞のIL-6誘導ヒスタミン分泌を制御する ことが判明した。以上より、炎症による肥満細胞の活性化制御には、細胞を取り巻くアミノ酸(グルタミン)の条件が関わっていることが判明した。現在、グルタミンと並び「免疫栄養」で頻用されている機能アミノ酸であるアルギニンの作用をグルタミンと合わせて解析するとともに、肥満細胞の創傷治癒への関与という観点から、肥満細胞由来で創傷治癒に重要な役割を果たすことが示唆されているIL-13の分泌にグルタミンがどう影響するかについても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究者が学内業務で多忙のため、研究に従事する時間をコンスタントに確保することが困難であり、培養実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は大学院生が比較的定常的に実験を実施できる状況にあるため、細胞の各種条件下での培養および解析を進めたい。また、本実験でこれまでにグルタミンが肥満細胞活性化の一部を制御する可能性が示唆されているため、今後、他の機能アミノ酸(アルギニン等)との相互作用や、アミノ酸による肥満細胞活性化のシグナル伝達機構、さらに肥満細胞の活性化を栄養因子が制御しうることの臨床的意義などについて検討していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は主に実験試薬の購入及び実験補助員(非常勤)の人件費として用いる。具体的には、前年度用いたHistamine EIA kit(60,000円/96 well kit)さらにrecombinant murine, IL-6 (11,000/vial)等を引き続き追加購入して、結果の確認(再現性の検討)を行く。人件費として週2回のべ2名以上の技術員またはアルバイトを確保する(時給1,000円として1,000x4x2=8,000円、交通費を合わせ1週間約10,000円/週、1年間52週として520,000円)。
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[Journal Article] Expression of Angiotensin II Receptor-1 in Human Articular Chondrocytes2012
Author(s)
Kawakami Y, Matsuo K, Murata M, Yudoh K, Nakamura H, Shimizu H, Beppu M, Inaba Y, Saito T, Kato T, Masuko K.
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Journal Title
Arthritis
Volume: 2012
Pages: 648537
DOI
Peer Reviewed
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