2013 Fiscal Year Annual Research Report
栄養と食による肥満細胞活性化制御の解析:「抗炎症食」をめざして
Project/Area Number |
23617028
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
増子 佳世 相模女子大学, 栄養科学部, 教授 (80288208)
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Keywords | 肥満細胞 / 栄養 / ヒスタミン / グルタミン / アルギニン |
Research Abstract |
肥満細胞は、IgE 依存性または非依存性に活性化され、脱顆粒やde novo合成によりヒスタミンやインターロイキン(IL)等の各種メディエータを産生・分泌することで、炎症やアレルギーのほか創傷治癒に関与することが知られている。一方、重症患者や周術期の病因病態に用いられる「免疫栄養」において、アルギニン(Arg) やグルタミン(Gln)などの機能アミノ酸が創傷治癒促進や感染症合併予防に寄与することが示唆されているが、そのメカニズムには不明な点も多く、特に肥満細胞に対する影響は明らかでない。今回我々は、アミノ酸が肥満細胞活性化に及ぼす作用について、培養肥満細胞を用い検討した。具体的には、マウス由来P815肥満細胞を、GlnおよびArg濃度を段階的に変化させた10%ウシ胎仔血清加RPMI1640培地を用いて培養し、一部をリコンビナントIL-6で刺激後、上清中のヒスタミンおよびIL-13濃度をELISAにより定量した。この結果、1)培養条件におけるGln濃度の高低は、肥満細胞からのヒスタミン基礎分泌を変化させ、2)IL-6刺激による非IgE依存活性化条件においては、培養液中のGln濃度を上昇させることでP815からのヒスタミン分泌反応が増強した。一方、3)培地中Arg濃度の上昇はP815細胞からのヒスタミン基礎分泌を増加させたがIL-6に対する反応性は変化させず、4)肥満細胞からのIL-13分泌はヒスタミンと異なりGln濃度のみに影響を受けた。すなわち、GlnやArgなどのアミノ酸は、炎症刺激による肥満細胞からのヒスタミンおよびIL-13分泌に対し、それぞれ異なる影響を与えることが判明した。免疫栄養におけるアミノ酸の作用の差異の一部に、肥満細胞からのメディエータ発現誘導の違いが関与している可能性が示唆された。
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