2013 Fiscal Year Annual Research Report
食事成分の腸管吸収におけるリンパ系輸送の役割の解明
Project/Area Number |
23617032
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
室田 佳恵子 近畿大学, 理工学部, 講師 (40294681)
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Keywords | リンパ輸送 / ヘスペレチン / プロビタミンA / ビタミンE / ナノ粒子 / メチル水銀 |
Research Abstract |
今年度は、フラボノイドとして柑橘類に豊富に含まれるヘスペレチンについてリンパ輸送の可能性を検討した。その結果、十二指腸にヘスペレチン(アグリコン)を投与したリンパカニュレーションラットのリンパ液中からヘスペレチン抱合代謝物が検出されるとともに、同時に採取した末梢血漿からもヘスペレチン抱合代謝物が検出されたことから、ヘスペレチンは腸管細胞による代謝を受けた後、門脈と腸管リンパの両方に輸送されることが示唆された。これまでに報告したケルセチンの場合と比較し、ヘスペレチン投与時には末梢血漿濃度に対するリンパ液中濃度比が高くなる傾向が示された。ヘスペレチンは化学構造上ケルセチンよりも脂溶性が高く、抱合代謝物においてもおそらく脂溶性がやや高いことから、脂溶性成分の輸送経路となるリンパへの移行割合が高かったものと推定された。 カロテノイドのリンパ吸収実験においては、昨年度に引き続きプロビタミンAカロテノイドの吸収を比較した。疎水性のカロテノイドを充分に溶解させた状態でリンパカニュレーションラットに投与したところ、βカロテンの吸収性には著しい向上がみられたが、αカロテンの吸収性は可溶化によってもほとんど向上せず、ラット小腸にはαカロテンとβカロテンを区別して吸収する機構が存在している可能性が示された。 また、ナノ粒子加工により可溶化したビタミンEのリンパ輸送についても評価を行ったところ、ナノ化によりビタミンEの吸収性は向上することが示唆された。培養細胞実験ではこのような効果はみられておらず、今後促進機構についてさらに検討する必要がある。 これらの成果に加えて、今年度は食品汚染物質である有機水銀の吸収性に対する油脂の影響を検討した。メチル水銀は一部がリンパ液へと輸送されるため、種々の食事性油脂との同時投与実験を行ったが、油脂によるメチル水銀の吸収を促進する作用はみられなかった。
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Research Products
(2 results)