2011 Fiscal Year Research-status Report
植物フラボノイドによる生体機能への影響と食品としての機能評価における基盤研究
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23617035
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
柳原 延章 産業医科大学, 医学部, 教授 (80140896)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 植物性フラボノイド / ノビレチン / ダイゼイン / カテコールアミン / 生合成 / 分泌 / 食品成分 / ストレス |
Research Abstract |
本年度の研究計画として、蜜柑果皮成分ノビレチンなどの植物由来のフラボノイドによるカテコールアミン(CA) 神経機能への影響について検討することであった。その結果として、1)培養ウシ副腎髄質細胞においてノビレチンは、それ自身でCA分泌を促進した。その機序として、電位依存性Ca2+チャネルの特にL及びN型チャネルに作用し、さらに逆行性Na+/Ca2+交換反応を活性化して細胞内へのCa2+流入を増加させることによるものであった。一方、ノビレチンは生理的刺激であるアセチルコリン(ACh)によるCA分泌を抑制した。その機序として、ニコチン性ACh受容体を介するNa+流入の阻害、それに引き続いて電位依存性Ca2+チャネルを介するCa2+流入の阻害によるものでたった。2)ノビレチンをマウスにin vivo短期投与して、強制水泳ストレス実験を行ったが、顕著な効果は見られなかった。3)大豆成分のダイゼインは、それ自身でCA生合成を促進し、その機序として細胞膜エストロゲン受容体を介する細胞外シグナル調節蛋白質リン酸化酵素(ERK)やサイクリックAMP依存性蛋白質リン酸化酵素の活性化、チロシン水酸化酵素のリン酸化及び活性化等によるものと思われた。一方、ダイゼインはACh刺激によるCA生合成及び分泌を抑制した。以上の結果より、植物性フラボノイドであるノビレチンやダイゼインはそれ自身では、CA分泌や生合成を促進するが、ストレスなどにより引き起こされるACh刺激のCA分泌や生合成に対しては抑制することが判明した。これらの結果を、第8回IBRO世界神経科学大会(フィレンツェ市、イタリア、2011年7月)、第7回国際中国伝統医学発展大会(天津市、中国、2011年9月)及び第85回日本薬理学会年会シンポジウム(京都市、2012年3月)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に対して、ほぼ計画に沿って遂行された。当初の計画では、植物性フラボノイドのノビレチンやダイゼインのカテコールアミン生合成や分泌に対する反応を調べることであった。上記で述べたようにこれらの植物性フラボノイドがカテコールアミン生合成や分泌に対して2相性の作用を引き起こすことが判明した。特に、興味深いことは、ストレスや精神的興奮により生ずるアセチルコリンを介するカテコールアミン生合成や分泌に対して抑制作用を示すことから、これら食品成分に抗ストレス効果の可能性を示唆した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として、今年度はさらにその他の植物性フラボノイドでイカリソウの成分であるイカリノサイドAなどを用いて前年度と同様なカテコールアミン研究を行う計画である。また前年度に調べた植物性フラボノイドが、実際にin vivo実験において生体内でのカテコールアミン動態にどのように影響するか、また種々のストレスに対して抗ストレス効果を示すかどうかなどを調べる予定である。特に、昨年度の未使用の金額142722円については、植物性フラボノイドの受容体の1つと想定される細胞膜エストロゲン受容体の分子生物学的な検討や分子薬理学的な検討のための費用に追加配分して、細胞膜エストロゲン受容体の本体の解明に迫りたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
細胞培養関係、細胞内シグナル用キット、放射性標識化合物などの消耗品に34万円、細胞膜エストロゲン受容体の分子生物学的研究用試薬などに30万円、実験動物関係等のその他費に50万円、さらに国際及び国内学会の発表などの旅費として40万円を計上したい。
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Research Products
(16 results)
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[Journal Article] Impaired insulin signaling in endothelial cells reduces insulin-induced glucose uptake by skeletal muscle2011
Author(s)
Kubota T., Kubota N., Kumagai H., Yamaguchi S., Kozono H., Takahashi T., Inoue M., Itoh S., Takamoto I., Sasako T., Kumagai K., Kawai T., Hashimoto S., Kobayashi T. Sato M., Tokuyama K., Nishimura S., Tsunoda M., Ide T. Murakami K., Yamazaki T., Ezaki O., Kawamura K., Masuda H., Moroi M., Sugi K., Oike Y., Shimokawa H., Yanagihara N., Tsutsui M., Terauchi Y., Tobe K., Nagai R., Kamata K., Inoue K., Kodama T., Ueki K., Kadowaki1 T.
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Journal Title
Cell Metabolism
Volume: 13
Pages: 294-307
DOI
Peer Reviewed
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