2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞のヒツジ胎子微少環境内における造血系分化誘導システムの確立
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23618005
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
長尾 慶和 宇都宮大学, 農学部, 教授 (70291953)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 幹細胞 / 分化誘導 |
Research Abstract |
検討課題1.移植細胞の分化状態と移殖されるヒツジ胎子の胎齢と移植部位の検討小課題1.移植細胞の分化段階と移殖された後の生着・分化との関連: 未分化なサルES細胞と造血系へ初期分化誘導した細胞の2種類を用いてヒツジ胎子への移植を行った。移植するヒツジの妊娠日齢は60日前後、移植部位を肝臓とした。その結果、未分化細胞を移植した場合には生着せず(2例中0例)、初期分化細胞を移植した場合にのみ生着例が得られた(5例中5例)。これにより、目的とする組織系統へ初期分化誘導してから移殖することの有効性が明らかとなった。小課題2.ヒツジ胎子の胎齢と移植部位と生着・分化との関連:造血系へ初期分化誘導した細胞を用いて、胎齢45~65日のヒツジ胎子への移植を行った。移植する部位は皮下または肝臓とした。その結果、皮下に移植した場合は生着率が低く、1例でテラトーマ形成も見られた。肝臓へ移殖した場合は高い生着率が得られ、テラトーマ形成は観察されなかった。日齢については大きな変化は見られなかった。以上の結果より、初期分化誘導した細胞を妊娠60日前後のヒツジ胎子へ移植することにより、高い生着率と目的とする分化誘導が達成できることが明らかとなった。検討課題2.ヒツジ胎子および移植細胞の調整による生着・分化効率の向上小課題1.ヒツジ胎子に対するブスルファン投与:ヒツジ胎子に対してブスルファンを投与してその骨髄細胞増殖活性を抑制できるか否か検討した。その結果、母親の静脈経由で至適量を投与することにより、胎子の骨髄細胞増殖活性を抑制できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述の通り、平成23年度に予定していた「検討課題1」については、「小課題1」「小課題2」ともに順調に進展し、移植細胞の分化状態と移殖されるヒツジ胎子の胎齢と移植部位について、貴重な知見を得た。この成果は、今後の本研究の遂行上、非常に貴重である。 また、平成24年度に実施を予定していた「検討課題2」についても、「小課題1」について、ブスルファンを用いた胎子のプレコンディショニング条件について設定することに成功した。 以上より、本研究は当初の計画以上に順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前述の通り、本研究は計画以上に順調に推移している。平成24年度は23年度に引き続き、「検討課題2.ヒツジ胎子および移植細胞の調整による生着・分化効率の向上」のち、「小課題1.ヒツジ胎子に対するブスルファン投与」について、ヒツジ胎子に対してブスルファンを投与してプレコンディショニングを行い、その後に細胞移植を行い、移植細胞の生着率、その後のキメラ率を向上しうるか否かについて検討する。 また並行して、「小課題2.共移殖」と「小課題3.移植細胞への遺伝子操作」についても、細胞や導入遺伝子について準備を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度と同様に、培養液やプラスチック器材などの実験用消耗品を中心に、ヒツジの飼料や血液分析キットなどの購入、ならびに成果報告や情報取集のための学会参加費に使用する予定である。高額な実験機器の購入は特に予定していない。
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Research Products
(1 results)