2013 Fiscal Year Research-status Report
ゼブラフィッシュ視神経再構築におけるFactorXIIIAの関与とその作用機序
Project/Area Number |
23618006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
杉谷 加代 金沢大学, 保健学系, 助教 (20162258)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
郡山 恵樹 金沢大学, 医学系, 准教授 (70397199)
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Keywords | Factor XIII-A / optic nerve / neurite sprouting / zebrafish / axonal elongation / retina / transglutaminase / CNS regeneration |
Research Abstract |
魚類の中枢神経は、軸索が損傷を受けても自然の状態で再生関連分子が発現増加し、最終的には完全なる機能回復が可能である。本研究では、魚類の視神経を中枢神経再生モデルとして用い、視神経損傷後の視神経および網膜での修復過程において、発現増加の見られる血液凝固因子Factor XIII-Aサブユニット(FXIII-A)について、再生関連分子としての関連性も含め、その機能について検索を行った。 視神経をクラッシュ後約1時間後には、視神経損傷局所においてFXIII-Aの発現が増加することをin situ hybridization および免疫組織化学染色で確認した。この発現増加には、損傷部位に集積したアストロサイトやマイクログリア細胞が深く関与しており、これらの細胞が、視神経の損傷局所でのFXIII-A発現細胞として集積することを突きとめた。 一方網膜内では、視神経損傷後3~10日をピークにFXIII-A遺伝子発現の増加が網膜神経節細胞に認められ、タンパクレベルでもこの増加は確認できた。 網膜組織を用いたExplant culture へのFXIII-Aタンパク添加実験では、強制発現実験の結果と同様、再生軸索が突起を再形成する視神経再生の初期の過程で、神経突起の形成にFXIII-Aが重要な役割を果たすことが判明した。また、この効果はヒトFXIII-Aタンパクをマウス網膜神経節細胞由来の細胞株,RGC-5 cellへの添加実験でも確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
魚類視神経の再生過程におけるFactorXIII-Aの生理学的機能を解析することにより、網膜でのFactorXIII-Aの発現は、網膜神経節細胞からの神経突起形成(sprouting)に重要な役割を果たすという結果が得られた。また、この神経突起形成促進作用は、ラット由来のRGC-5 cellを用いた培養細胞への添加実験においても同様の作用を有することを確認できた。 さらに、視神経損傷局所に発現するFXIII-Aは、集積するグリア細胞から供給され、これは再生軸索の伸長に関与することが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
哺乳類であるマウスの視神経を用い、再生不可能とされる系では、視神経損傷後FXIII-Aはどのように網膜および視神経で変化するのかを検索する。また、FXIII-Aタンパクのマウス視神経損傷部位への投与実験等を実施し、哺乳類神経細胞におけるin vivoでのFXIII-Aの作用を確認したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
血液凝固因子の一つであるFactor XIII Aサブユニット(FXIII-A) が魚の視神経再生過程において網膜および視神経の両方に発現が増加することを発見し、この分子のクローニングに成功した。さらに、このFXIII-Aの中枢神経再生における機能の解析を行ったところ、神経突起の形成(スプラウティング)に関与することを発見した。その詳細な分子機構の解明に数ヶ月の遅延が生じ、未使用額が生じた。 魚の網膜組織を用いた強制発現実験では、FXIII-Aタンパクは再生初期の神経突起形成 (sprouting)を促進する分子として同定できた。この神経損傷後直後からのFXIII-Aの発現を調節する分子の解明を進めると共に、哺乳類の損傷視神経に対しても有効に作用するかどうかを検索するため、マウスを用いたin vivo でのFXIII-Aタンパク投与実験あるいは強制発現実験が必要であることから、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(12 results)