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2012 Fiscal Year Research-status Report

心筋前駆細胞のトランスクリプトーム解析による分化転換RNA分子の探索

Research Project

Project/Area Number 23618009
Research InstitutionThe University of Kitakyushu

Principal Investigator

日高 京子  北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (00216681)

KeywordsmiRNA / 多能性幹細胞 / 心筋細胞 / 細胞分化
Research Abstract

細胞の分化状態は不可逆的なものであり、分化状態を変えることは極めて難しいものであると考えられてきた。しかしながら、iPS細胞の登場以来、複数の転写因子の「組み合わせ」による分化制御への道が開け、この分野における新たなパラダイムとなっている。一方、マイクロRNA (miRNA) も転写因子同様、遺伝子発現調節を通して細胞分化や機能維持に重要であり、miRNAの導入によっても細胞の運命を制御することが可能となりつつある。本研究は、心筋分化誘導の重要な鍵となるmiRNA 分子群を同定することによって分化の道筋を解明し、繊維芽細胞のような非心筋細胞を心筋細胞に分化転換させることを目指すものである。miRNAの模倣分子あるいはインヒビターのような低分子RNAの導入はタンパク質やDNAの導入に比べると容易であり、新しい心臓再生療法を開発するために、このような機能性RNA分子を探索することは極めて意義のあることと思われる。
平成24年度では前年度のトランスクリプトーム解析をもとに選んだ複数のmiRNAについて、LNAオリゴを用いたリアルタイムRT-PCRによる発現解析を行った。その結果、マウスES細胞由来の胚様体の分化に伴い発現が上昇し、心筋分化促進条件で発現が減少しないという基準を満たしたmiRNAの中には心筋や平滑筋で発現・機能していることが知られるmiRNA が含まれていることが確認できた。一方、一部の心筋特異的miRNAについては、胚様体サンプルにおける発現が極めて低いことがわかった。このことは胚様体由来心筋前駆細胞が分化途上にあり、心筋と平滑筋の両方に分化しうる段階の細胞であったこと、分化の進んだ心筋に特徴的な遺伝子をまだ十分に強く発現していないことという、以前の報告に合致するものであった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度の主たる目標は、胚様体トランスクリプトーム解析および発現に関する既知のデータ(文献情報および公開データベース)に基づく候補遺伝子の抽出とこれらの発現のリアルタイムRT-PCRによる確認、および分化転換実験におけるトランスフェクションの条件検討であった。発現については、一部において期待通りのデータを得ることができたものの、発現レベルが低いためか、選んだ候補の全てにおいて確認することはできなかった。非心筋細胞を用いたトランスフェクション実験については、残念ながら当初の計画より遅れている。胎児由来繊維芽細胞と心筋由来繊維芽細胞とではmiRNAの働きが違うという報告があり、細胞の選択および準備の段階から検討しなおす必要があると考えている。

Strategy for Future Research Activity

昨年度に引き続き、複数のグループにより転写遺伝子群やmiRNA群の「組み合わせ」による心筋への分化転換に関する報告がなされており、心筋分化制御法の開発にむけて徐々に新たな道が開けようとしている。しかしながら、その効率は依然として十分に高いとは言えず、研究グループによってもばらつきがある。既存の因子群に新たな因子を追加することで、さらなる分化効率や再現性の上昇を期待したいと考えている。その一方で、単に、分化転換を起こす分子の探索を行うだけではなく、これらの分子の役割についての解析を通して、分化の基盤となるメカニズムを明らかにすることが重要ではないかと思われる。
今後は、網羅的解析・および発現確認実験によって得られた候補miRNA群について、既存の因子による分化転換能力への影響を調べるとともに、阻害実験等により、機能面での解析も検討することとする。さらに、得られたmiRNAの標的となるような遺伝子群の予測・同定、および分化途上である心筋前駆細胞の全体像を把握することによって、miRNAと標的遺伝子からなるネットワークによる分化調節機構を明らかにしたい。以上のように、多能性幹細胞から心筋細胞が分化するメカニズムを解明することによって、最終的には非心筋細胞の分化転換という目標に近づけたい。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

候補miRNA群の機能についてトランスフェクションによる実験を行う。具体的には、(1)胚様体を用いた分化阻害実験、(2)胎児由来繊維芽細胞、心臓由来繊維芽細胞を用いた分化転換実験を計画している。(1)の実験にはmiRNAの働きを抑制する分子、(2)にはmiRNAを模倣した分子を使用する予定であり、それぞれ合成RNA分子を購入する予定である。また、トランスフェクションの条件検討、およびトランスフェクション後の細胞の分化状態の検討も行う予定であり、前者においては蛍光標識分子や各種トランスフェクション試薬、後者においては網羅的に分化状態を捉えるためのマイクロアレイ解析も予定している。

  • Research Products

    (3 results)

All 2012

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Electrophysiological properties of prion-positive cardiac progenitors derived from murine embryonic stem cells.2012

    • Author(s)
      Fujii H, Ikeuchi Y, Kurata Y et al.
    • Journal Title

      Circ J.

      Volume: 76 Pages: 2875-2883

    • DOI

      10.1253/circj.CJ-12-0126

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Vgll2は成体骨格筋線維型を制御する2012

    • Author(s)
      本多 賢彦、日高 京子、須川 涼、 深田 宗一朗、住江 訓明、森崎 隆幸
    • Organizer
      第35回日本分子生物学会年会
    • Place of Presentation
      福岡国際会議場・マリンメッセ福岡(福岡市)
    • Year and Date
      20121211-20121214
  • [Presentation] 筋分化にかかわるRNA結合タンパク質Rbm24の機能解析2012

    • Author(s)
      日高京子、金 東浩、白井 学、森崎 隆幸
    • Organizer
      第3回 Molecular Cardiovascular Conference II
    • Place of Presentation
      キロロ・ホテルピアノ(北海道余市郡)
    • Year and Date
      20120907-20120909

URL: 

Published: 2014-07-24  

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