2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23650004
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小柴 健史 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (60400800)
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Keywords | 量子暗号 / 暗号プロトコル / 観測ベース量子計算 / 暗号理論 / セキュア計算 / 量子計算 |
Research Abstract |
暗号理論において代理計算と呼ばれる二者間プロトコルがあり,クライアントの入力や計算結果をサーバに秘匿にしたままで,サーバに代理計算を行わせることができる.古典暗号理論においては,Garbled回路と呼ばれる方法論があり,量子暗号理論においては,ブラインド量子計算と呼ばれる手法がある.それぞれの領域で,安全性を強化する方法が知られているが,それらの技術は互いに応用できる関係にあることを見出すことができた. 互換技法を研究するに当たり,それぞれの領域を深める研究も行った.ブラインド量子計算は観測ベース量子計算と呼ばれる計算モデル上で議論するのが一般的であるが,物理的な実装を考慮すると,観測に適した系と計算に適した系が存在し,観測は観測系でのみで行う計算モデルとして補助キュービット駆動量子計算と呼ばれる計算モデルがある.観測ベース量子計算の特殊な形であるため,ブラインド量子計算が可能であるための十分条件を導出し,実際にその十分条件を満たす方法を与えた. 暗号理論においては,プロトコルを単体で用いることは少なく,他のプロトコルの部品として利用されることが一般的であり,そのような状況においても安全性を維持する性質は汎用結合可能性と呼ばれる.ブラインド量子計算の方式には様々な方法があるが,クライアントが観測を行うタイプのFujii-Morimae方式は汎用結合可能であることを証明した.この証明は,Fujii-Morimae方式が一方向通信しか行わないという性質を利用したもので,従来証明手法を大幅に簡略化するとともに,no-signaling仮定だけで証明が可能であるという意味で従来よりも安全性が高いプロトコルになっていることを示したものである.
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